天空都市 アコマプエブロ

この名前を聞くと日本人なら宮崎駿のアニメを思い出してしまうかもしれませんが、これはアコマプエブロの別名スカイシティの事です。
実はこのブログのトップのページにもこのプエブロのアドべ建築の家をモチーフとして使わせてもらっています。
アドべ建築とは砂や“わら”などの有機素材を型取った日干しレンガから作られたもので、ここニューメキシコではプエブロ始め、オールドタウンでよく見られます。この建築様式は内部が涼しい為、ニューメキシコのような砂漠地帯などに適しているそうです。
さて今回はこのアコマ族の紹介です。
細かい幾何学模様のポタリー(壺)でも有名な部族ですが、彼らの集落もまたスカイシティと呼ばれるだけあってとてもユニークな作りをしています。
彼らはメサと言われるテーブル台地の上に集落を持っています。
テーブル台地といっても高さ地上より100メートル程の断崖であり、標高2134メートルもあり、そこからスカイシティと呼ばれています。

もちろんこのメサの上で作物を育てる事は難しく、このメサのふもとで大事な食糧源であるトウモロコシを育てたそうです。
『ではなぜ、わざわざこの一見住みにくいこの場所を選んだのか?』
答えは外敵からの防衛に優れていたからです。
アコマの人々は防衛の知恵に長けており、昔は家も二階にドアがあり、ハシゴを使って家に入ったそうです。また、現在はメサのふもとから道路が引いてありますが、以前は断崖に手で掘った階段を使って行き来したそうです。
こちらがその頃を思わせる急勾配な手掘りの階段です↓

アコマプエブロは今もなお住み続けられているアメリカ最古のプエブロです。
現在ではほとんどの部族の人は下界に移り住みましたが、それでも伝統を守るため、交代で十数名が電気もガスも水道もないメサの上で過ごしています。
自分達の伝統を守る為に、この限られた生活空間を守っており、部外者はガイド付きでプエブロ内を見学できますが、いろいろとルールがあります。
風景でさえ撮影の許可が必要ですし、また、撮影禁止区域もあります。
厳粛なルールの下にこの原風景ともいえる昔ながらのプエブロが残るわけですね。
メサの上では水はとても貴重なものとされ、大地にへこみを造りそこに雨水を溜めるなどして工夫されています。
そして、ここにきて初めて見たのが、『キバ』です。
キバとはインディアンにとって神聖な祭事を司る場所として使われています。セレモニーの前などはキバに籠って儀式の準備をしたりします。

ズニ族ではその場所に近寄る事さえ許されません。普段は生活の為にインディアン達も英語を使っていますが、キバでは英語を使う事は許されません。
キバはホピ族のジュエリーでもモチーフとしてよく使われています。
こちらはグレッグ・ナセヨマに作品です↓
ハシゴが空に向かって掛けられているものがそうです。

ニューメキシコに来てインディアン達と仕事をしていますが、ここまで彼らのルーツを感じられた場所はありませんでした。
アコマプエブロでは素朴な家が並び、360度広がる大地とどこまでも青く広い空に深く感動しました。