伝統の継承

まだ寒い日が続いているニューメキシコ。相変わらず泥んこのリザベーションロードにハマり、抜けられなくなっている車が多数です。

さて、こちらはホピ族ジェイソンタカラ氏の息子、ジェイソンタカラ。ややこしい!

父ジェイソンタカラは名前にSr.(シニア)がついていて、息子ジェイソンタカラにはJr.(ジュニア)がついていますので同じ名前ではないのです。アメリカではよくあるこのシステム。シニア、ジュニア、サードⅢなんてつくときもあります。来客があったときとか呼び名が同じで面倒じゃないのだろうか・・・なんて考えちゃいます。

ちなみに私たちは、シニアの父の方はジェイソンタカラ、息子の方はジェイソンジュニアと呼んでいます。

今まであまりジュエリーには興味を示さなかったというジェイソンジュニア、チェーンを作るのは好きでよく手伝っていたそうです。そこから、カッティングも始めて少しずつオーバーレイも作っています。

カッティングの細かさ、正確さで知られる父ジェイソンタカラの名前があるので、買う方もやはりつい比べてしまいます。ハードルがすでにかなり上がってますよね。

伝統の継承は難しい、と思う瞬間です。それでもこれを誰かが続けていかないとこのスタイルはだれにも継承されることなく、父ジェイソンタカラが作るのをやめてしまったらそこがピリオドになってしまう。

BoReeves、John Michael Lister,などマライカで世代を通して取引できることは、誰かが継承しているということ、作り手の年齢が上がっていき、ビジネスも難しいこの景気の中では子供世代が継承して作り続けているのはほんの一握り。とても大事なことだと思います。

作家として技術を上げていくのと同時に、デザイン力を身につけさせているという父ジェイソン。こちらは父ジェイソンのデッサンとともに仕上げられたペンダント。こういう父を持った息子というのは、よっぽどの精神力が必要なんだろうなぁと思った一日でした。

 

ジェシーロビンズ工房訪問 2

ブログの更新が遅れています、すみません!

インディアンマーケットを挟みましたが、ジェシーの工房訪問続きです。

とにもかくにも、この作風の味をどうやって出しているのか知りたかったのでお願いしてバングルを製作してもらうことに。
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インゴットのコインシルバーの塊を、ひたすら叩いてなめし、作りたい作品の形にしていく。

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なめしながらひたすらハンマーでたたいていく。
音がすごいから気を付けてというジェシー。
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チゼルワークであっという間に出来上がっていくデザイン。
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若手ながら多くのアーティストと交流があり、この日も一人のアーティストが訪ねてきていました。
こうやってアーティスト仲間でつくり方などの情報を交換し合うのはあまり見ることがない光景で、ジェシーの人柄ならではだと感じました。

1/4クリーク族のジェシー、インディアンの血が4分の1入っていれば法律的にはネイティブアメリカンとして認められますが、他のネイティブと違い見た目は白人さん、そのジェシーが南西部のネイティブアメリカンのジュエリーを作るということに100パーセントネイティブのアーティストからすると色々な意見があるようです。

が、本人からしたら昔からなじんできたジュエリーであり、シルバースミスとなるのは至って自然なことだったようです。

家族から受け継がれて自然となるシルバースミスとはまた違い、ちょっとオタク気質ともいえるターコイズへの愛とインディアンジュエリーに対する熱意が現在のスタイルを築いてきたことが分かります。

ジェシーロビンズの作品

ジェシーロビンズ工房訪問 1

最初に彼のジュエリーを見たときは、60歳を超えたベテランの作品かと思いました。

1982年生まれの33歳、シルバースミスの中ではかなり若手、見た目はまさに白人さんというジェシーロビンズ

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彼がどうやってこういう作風にたどり着き、なぜインディアンジュエリーを作ろうと思ったかは彼の生い立ちにあります。

「アメリカ南東部に先住するクリーク族(4分の1クリーク族)で、母がインディアンジュエリーの熱狂的なファンであったこと、周りにシルバースミスが多くいたことから子供のころからインディアンジュエリーに強い影響を受けて育ちました。大学では考古学を学びインディアンの歴史的背景を勉強し、その知識からターコイズについてもとても詳しいです。彼の師匠であるランディ「ババ」シャッケルフォードジョックフェーバーとの出会いにより、インディアンジュエリーの伝統的な手法を身につけ、1920年代から40年代の初期の時代のような作品を作っています。」

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今回工房にどうしても訪れたかったのは、この雰囲気ある作品をどうやって作るかを生で見たかったのです。

まず圧巻された、彼のターコイズコレクションの量。IMG_6931
私の知る限り、こんなにターコイズを持っているアーティストに会うのは初めてです。

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このターコイズの量には本当に驚きました。

ジュエリーを作り始める前から、考古学で稼いだお給料をつぎ込んでターコイズを買っていたそうです。ほとんどのお給料をターコイズにつぎ込んだとか。ターコイズは自分にとって「投資」だと言っていました。

去年インディアンジュエリー好きの父とともに、鉱山の採掘権を買い、年に2回、ネバダ州の鉱山に出かけています。これも、投資。いい石は簡単には見つからないというのを身をもって学んだそうです。

長くなるので、続きはまた次回・・・。

 

石にこだわるアーティスト!Steve Arviso

アーティスト工房訪問!今回はSteve Arviso
スティーブと言えば・・・ヘビーゲージのシルバーに
ハイグレードターコイズの組み合わせが魅力!!
今回は石にこだわるスティーブならでは
ターコイズの研磨を見せてもらいました。

初めて見ました!この状態・・・
こちらはターコイズのスライスにバッキンを付けた状態です。

ここから研磨に入ります。
目の粗さの異なるホイールで形を整えながら研磨します。

研磨するときは石が熱を帯び、熱くなって割れてしまうため
常に水を流しながらの作業です!
だいたいの研磨が終わったら・・・次はこちら!

研磨剤をつけてレザー・コットンのローラーで仕上げの磨きをします。
そして完成・・・

仕上げはもう少し磨かなきゃいけないみたいですが・・・
今回はデモンストレーションと言うことで、ここまで!
ラフの状態からターコイズの表情を想像して石を磨く。
ターコイズがジュエリーにセットされたイメージをして、
ジュエリーを作る・・・
改めて、すごいなぁ・・と感動した瞬間でした。
そんなスティーブのジュエリー^^

ハイグレードなキャンデラリアを贅沢にセットしたバングル!!
仕入れることができました。
発送までもう少し!日本に届くのをお待ちください。

Harrison Jim 工房探訪③

さて、いよいよ最終段階。
磨きに入ります。
ちょっと準備が・・・・と息子君がホーガンの裏へ。
ブオーンと発電機をスタートさせました。
ハリソンはでっかいジャケットを羽織って外へ。
磨きのバフマシーンは外にあります。電気がなければ使えないので、いつも発電機を使うんだそうです。
バフをかけて、

できました。

ハリソンのトゥファの作品は、どこかメタリックな、鉄や他の鉱物を連想させるような力づよさがあります。かといって、ナジャなど丸みを帯びたデザインになるととても優しくて、でもすごくきっちりしている、そんな印象です。

ハリソンがバングルなどを作るときにつかう、インゴッドシルバーを伸ばす時のローラー。

古いタイヤのパーツなどと接続させて、自分の使いやすいようにカスタムしたんだそうです。

厚みを変えて何回もローリングすることで、目が詰まった、でもスタンプが深く入るシルバーができるので、インゴットにこだわるんだとか。
その時ちょうどネックレスの製作途中でした。

手間のかかるハンドメイドビーズ、ハリソンはこういった地道な作業も得意です。
しっかりとした重さのあるハンドメイドのビーズをつくる、数少ないアーティストです。
それに合わせられるのがこの豪華なクロスたち。

こんな風に作られました。

簡単そうに見えますが、こうやって細かいところまで均等にシルバーを流していくのってすごく難しいんです。このやり方にはびっくりでした。
この朝も、いろいろな人が訪ねてきてたわいもない話をし、ザ、ナバホというライフスタイルを送るハリソン。そんな中から彼のデザインも出てくるんだなと感じました。夏には毎年トウモロコシを育てているそうですよ。

Harrison Jim 工房探訪②

ハリソンジムのリングメイキングの続き。
いよいよシルバーを流し込みます。
ハリソンのデザインはとても細い彫刻刀で、深く細かいデザインを刻んでいきます。
まんべんなく温めると、こんな感じで細かいデザインの部分が真っ赤になっています。

うまくシルバーが流れ込むように、絶妙な深さ加減が必要なんだそうです。
出来上がりのデザインを、トゥファに埋め込むようにデザインしていく・・・。トゥファだけ見ただけでは、どんな凹凸になるのか、素人目には想像がつかないです。
シルバーを熱し、流し込みます。


うまく流れ込んだようで、一発成功!

余分な部分をやすりで削り、滑らかに。
表面にデザインのスタンプを刻んで、
次はリングの形に形成していきます。



この成形の過程が、かなり長い!様々なテクニックを使って、表面の質感も変えています。

上出来・・・の様子。
長くなったので、またまた次に続きます。

Harrison Jim 工房探訪①

先月のモノマガジンにも大きく取り上げられた、Harrison Jim
ナバホの伝統を生かしながらもどこかきっちりとした西洋のジュエリーのような風合いを醸し出す不思議な彼の作品。
そんな彼の工房に行ってきました。
ニューメキシコ州、ギャラップの町の東、町からすぐのリザベーションに住むハリソン。

彼の家は、ナバホ族の伝統的な6角形の家、ホーガンです。
彼の住むホーガンには電気、水道、一切なしですが、発電機と、隣の家には電気水道通っているそうです。
ホーガンの入り口は、必ず東(朝日の方向)を向いています。

天気が良くなってきたから昨日は畑を耕して作物の準備をしたというハリソン。
町の近くに住むナバホ族には結構珍しい、かなり昔ながらの暮らしをしています。
一番に目に飛び込んだのはこのストーブ。

まきストーブの上でスープを作ったそうです。
朝8時集合だったので、ちょうど朝日が降り注ぐ中、入り口を開けて太陽を浴びながら作業を始めてくれました。

トゥファストーンにデザインを描き、今回はリングを作るところを見せてくれるそうです。


中心とサイドの線を引き、後は自分の感覚でデザインを入れどんどんと削っていきます。
アーティストによって、細かく計ってラインを引きながら作る人もいれば、感覚で作る人もいてその違いが面白いです。
デザインが出来上がったら、シルバーを流すための空気穴を作っていきます。
ここで、トーチを取り出しておもむろにトゥファストーンを真っ黒に!

これは初めて見る技でびっくり。だからハリソンのできあがりトゥファストーンはいつも真っ黒なんですね。トーチの空気量を少なくして、煙だけをあてるのだそうです。

次に続く・・・・。

全ての物のルーツ、Liz Wallace

Liz Wallaceの商品が入荷しました。
日本でも、様々な雑誌にとりあげられているので名前は知っていたのですが、ショーなどで見かけても話す機会がなかったリズ。
なんとなく訪ねてきてくれたんですが、ロングヘアーで紹介されている雑誌を見ていたので、まさかのベリーショートカットになっていてびっくり!!
若手女性アーティストというのもあって、気になってはいたのですが、持ってきてくれた作品集を見て、彼女のアートの世界に触れ、ぜひスタジオに行ってみたい!と、おじゃましてきました。


まさに、「アーティストのスタジオ」という感じの場所。
一軒家に引っ越しする前ということもあり、ごちゃごちゃだからごめんねといいながらも、その中のリズのアート感に触れてきました。
たくさんのアートの本
たくさんの受賞リボンの中に飾られた、馬のくつわ。

アフリカのアンティークの馬のくつわだそう。
それをレースのリボンで飾っているところに、リズらしさが出ています。
古い古い、工具。

そして昆虫の標本。
カリフォルニア州で育ったリズの先祖が食べていたという、どんぐり。
金魚のスケッチ。
こだわりの、ナチュラルターコイズ。

様々なものが散りばめられているスタジオに、感激しっぱなしでした。
今は特に何も作っていないからといって、「じゃ外でお茶でも飲みながら話そう」とリズ。
話していると、彼女のジュエリーに使われるモチーフや生き方には、すべてに自分のルーツが刻まれているようでした。
彼女の日本好きは、おばあちゃんがよく日本庭園に連れて行ってくれたからだそうです。
オーダーでも気が向かないと作らない。
今自分の頭の中にある作りたいものを作る。
まさに、芸術肌のリズ。
少し、セレブな感じのアーティストなのかなと思っていたら、さっぱりとしたなんとも男らしいぐらいで、そのギャップにもびっくりしました。
髪を切った理由も、楽だから。とのこと。
寝起きだから写真はダメと言われたのが残念ですが、、、。
今はエナメルの加工を修業中だとか。

こうやってワックスで作ったバタフライの型にシルバーを流し込み、
その間にエナメルでいろいろな色を入れていくのだそうです。
あたりまえですが、アーティストそれぞれ、独特な感性や性格でジュエリーを作っていて、おもしろいなと改めて思ういい機会になりました。
新商品は、こちらから。
こんなリズらしい箱もついてます!

Mary Tafoya 工房訪問 つづき

更新が遅くなってしまいました。
Mary Tafoyaさんの工房訪問の前回ブログ
のつづき。
デザインを作っていくところからです。
こんな切り出しも、マリーさんならではのデザイン。

↓土台になるサーペンタインを置き、そこに机の周りに散りばめられた様々な石たちをピンセットでデザインしていきます。

↓こちらは、駐在員がデザインさせてもらったバタフライです。贅沢にも、やらせていただきました。

このデザインをいったん、すべて土台からはずしまして、
ここからは時間が命!のマリーさんの職人技。

下に見えるのは、卵の入れ物を一つ切り取ったもの。
これに、ジェットの粉と樹脂を混ぜ、サーペンタインの上に置きます。
早くしないとどんどん固まっていってしまうので、バランスをとりながらもすごい速さでどんどんのせていきます。
途中、気泡ができてしまうといけないので、細かい泡をすべてピンセットでつぶしていました。
デザインをのせて頂きました!!

このうえにさらに先ほどの樹脂を少しのせ、表面を平らに削ったらできあがりです。
デザインと、速さが命のマリーさんの制作風景は、なんだか図工の授業みたいですごく好奇心で心がかき立てられましたよ!
その日は、さらにマトンのレッドシチューの作り方まで教わりました。

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Mary Tafoya 工房訪問

さて、先日のブログでご紹介したMary L Tafoyaさんの工房にお邪魔した時のお話。
家に着くなり、離れにある工房へ。

まず圧巻!だったのが、このテーブルにある石の数!!!


すごい数!!
すべて、マリーさんのペンダントになる素材。
長~くなりそうなので、今日は素材のご紹介から。
例えばこのペンダント、

スポンジコーラル・赤
サーペンタイン・緑
ターコイズ・水色
ジェット・黒
アラバスターシェル・白
オリーブシェル・ぐるぐる
ラピス・青
レピドライト・紫
ジャスパー・ピンク
という素材が使われています。
なんだか色を教える授業にも使えそうなぐらいたくさんの色が使われていますね。

↑こちらはバックの土台になる、サーペンタイン。
ターコイズを使うこともあります。
作品になると、こうなります。


↑マリーさんの「オリジナル」シェルのぐるぐるデザインはこの「カーニーシェル」から生み出されます。
他に、中くらいの大きさのマーブルがかかっているぐるぐるは「アラバスターシェル」

ちいさめのぐるぐるは「オリーブシェル」を使います。

これはブラックコーラルと呼ばれる、サンゴの一種。

カットした石をこうやって重ねてつけて、これを薄くスライスすると、
商品の右上に使われているみたいなカラフルな段の色合いが出来上がります。
古くからスペイン人、メキシコ人とのつながりが強いサントドミンゴのプエブロでは、様々な人がこういったジュエリーにつかう素材を売りに来るんだそうです。
昔は、サントドミンゴが育てるコーンやジュエリーなどの工芸品とのトレードもよくされていたそうですよ。
というわけで、次回は図工の授業みたいなマリーさんの制作風景をお届けします。