ナチュラルVSスタビライズVSブロック

今日はオーダーのためにターコイズを選別する作業をしていました。
最近ターコイズについて、よく質問されます。
ナチュラルのアメリカンターコイズってもう市場にほとんどないと言われているけど、なぜここにはこんなにたくさんあるのか。とか、スタビライズでもナチュラルとして売っているのではないかとか。
前にも書いたような気もしますが、また書いてみます。


天然石やダイヤモンドでも同じだと思いますが、昔はそういう悪いディーラーさんもたくさんいて、だまされた!!なんてこともありましたが、現在ではインディアンジュエリー界も信用第一で、スタビライズのものはきちんとナチュラルではありませんと言って売る鉱山主やディーラーさんばかりになってきたように感じます。
通常のスタビライズのターコイズは、カットしてみるとすぐにわかります。
カットすると、ナチュラルは土や泥の匂いですが、スタビライズのものはプラスチックの匂いがします。
見た目では、ウェブやマトリックスの部分がナチュラルのものは光らないけど、スタビライズではきらっと光るという説明をすることもありますが、ウェブが少ない石など見た目だけでは判断できない高度なスタビライズの石も多くあります。
クラウドマウンテン(チャイニーズ)のカットの途中。

これがナチュラル


スタビライズ

肉眼でも、区別がつきにくいものもあります。
ラフになると、スタビライズのものは少し、プラスチック感があります。

よく、スタビライズやエンハンスがよく出回っているという話を書きますが、
スタビライズやエンハンスするにはナチュラルをそのままカットするよりも膨大な労力がかかりますので、スタビライズしてそれなりの価格でもも売れる見込みのあるものがスタビライズされることになります。スタビライズをする装置を自分で持っている鉱山主はほんの少しで、小さい鉱山なんかでは、別注でスタビライズしてもらうってことになります。
以前のキングマン鉱山の旅で、スタビライズされているところをレポートしてます。
特に昔のターコイズなんかはスタビライズする技術も広まっていませんでしたし、60年代、70年代にカットされたものはナチュラルな確立が高いという個人的な実感です。昔に採れた石を、現代の技術でカットするというディーラーさんもたくさんいますので、一概には言えませんが。
そんな労力をかけてでも、スタビライズしたいものといえば、強度がないけど、ウェブや色ががきれいだったり、塊が大きかったり、色が均一でビーズにできそうな石だったり。
値段的には例えばナチュラルの物が一カラットあたり5ドルだったら、同じ鉱山のスタビライズは、50セントとかになったりします。
品質としては、ナチュラルのものは強度は様々ですがマトリックスの部分がぽろっとかけてしまったり、油分や水分が浸透して色が変わっていったりしますが、スタビライズの物はそういった心配はありません。
現行の市場としては、それだけのお金を出せる人が少ないというのもあり、作家が普通に行く材料屋などに並ぶアメリカ産ターコイズのなかで、運が良ければナチュラルとしてみることができるのはキングマン、ロイストンといったところ。他のナチュラルターコイズは、コレクターやディーラー間の取引で売買されるものがほとんどです。
昔の鉱山主、コレクターなどのコネクションをたどり、どのバイヤーさんもこうやって年月を経てハイグレードナチュラルターコイズを手に入れています。
話が逸れましたが、
スタビライズをしても売りたいもの、の次に市場に出てきたのが、プラスチックでも売りたいターコイズ風の石です。

これ、全部プラスチックです。
こうやってブロックになっていまして、それも驚きですよね。
プラスチックに関してはあまり掘り下げることがないのでよく分かりませんが、
とにかく様々な技術を駆使して、ビズビー風を作ったり、ランダー風を作ったりされています。
「ターコイズ色に染色」したただのプラスチックもあれば、染色された天然石もあれば、「ターコイズの粉を固めたものなので成分はターコイズと変わらない」ものもあります。
自然の資源なので、ターコイズにも限りがあります。だから、ナチュラルターコイズは一言で言えばレア。
その中でも色が美しいものはそれだけでレアですよね。
そんなナチュラルなターコイズは、本当に貴重なもの、大地の恵みです。
それを技術ある作家がデザインして作られるジュエリー。なので、すべての作品に、レア、レア、とつけたい気持ちなんですね。
インディアンジュエリーの源、ターコイズ=「大地の石」を思い起こさせてくれるターコイズの話でした。