ナチュラルVSスタビライズVSブロック

今日はオーダーのためにターコイズを選別する作業をしていました。
最近ターコイズについて、よく質問されます。
ナチュラルのアメリカンターコイズってもう市場にほとんどないと言われているけど、なぜここにはこんなにたくさんあるのか。とか、スタビライズでもナチュラルとして売っているのではないかとか。
前にも書いたような気もしますが、また書いてみます。

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チマヨのベスト②

チマヨのベストの続きです。
●センチネラ
センチネラのベストのデザインは、本当に豊富です。

定番のチマヨ柄。
この「バッファローニッケルコンチョ」がついたものが人気です。

こちらはリオグランデと呼ばれるもの。「リオグランデ」の歴史もかなり古そうですが、メキシコのサラッペにルーツがあるようです。こういったシンプルなストライプのデザインをリオグランデと呼ぶようです。

これは「レインボー」。余った毛糸を繋いでいって織りなされる虹のようなデザイン。
そしてこれはセンチネラのオリジナルデザイン。

ファイヤー、フレーム(炎)のデザイン。

肩から降りてくる炎が力強いです。
センチネラでは、オーナー夫婦の奥さんリサさんが主導となってコンチョの組み合わせやデザインなど、どんどん新しいデザインを作っています。
織りだけではなく、ニットや革を使ってみたり、チマヨラグのデザインの幅を広げている工房です。
こちらも、バッグやポーチなどもありますよ。

●Trujillos
この工房のベストの入荷はほんの少量ですが、毎回、糸の色を選ぶところから作ってもらっています。

写真はないのですが、前身頃の左右と後ろの3色の組み合わせが違うベストをオリジナルでオーダーしました。
(写真なくてすみません!ぜひ店頭でご覧になってください!!)
この工房は、アーストーンの色合いが多いというイメージだったのですが、(オーナー曰く、こんなのもあるよとビビットカラーのラグを見せてくれました。)
とても幅が広く様々なデザインを細かく作ってくれます。

そんな背景のあるチマヨの織り作品たち。
暖かくて厚みがあまりないラグベストは、ジャケットも羽織れるし、何よりもデニムとの相性が最高です。
春先にも、Tシャツやワンピースの上に一枚このベストで着こなしてみてくださいね!!

チマヨのベスト①

先日、チマヨへラグやベストの仕入れに行ってきました。
お店でよく見かける、このベストです。

先月のモノマガジンでも取り上げられていましたね。昔は古着屋さんなんかでも見かけることがありましたが実はこのベスト、結構奥深いんですよ。
ニューメキシコ州チマヨ地方は、サンタフェの北に位置する織り物で有名な地方。
アメリカの中でも、スペイン人の入植のためにスペインとアメリカ文化が融合された地域でもあります。
歴史的には、16世紀のコロナドの入植の時からメキシコの街サルティーヨが起源とされるメキシカンラグが伝わっていたようです。
1540年のコロナドの入植時、なんと5000頭の羊がメキシコから来たというのが羊がきたきっかけだったそうです。
それまで、今のアメリカには牛、馬、羊毛羊はいませんでした。
(ホピ族の壁画などに出てくるのも、ほとんどがロングホーンシープと呼ばれるものです。)
暖をとるために必需品だったラグ織りはその地の様々な人に伝えられて、19世紀の産業革命で商業羊毛や化学染料が出回ることによって色合いがどんどん変わってきたようです。
以前メキシコに行ったとき、ラグの天然染料を見せてもらったことがあります。
あいまいな記憶ですが・・・すいません。
サボテンの花→赤、玉ねぎの皮→ベージュ、他花や草など様々な素材でいろいろな色を作り出していました。
昔昔は天然染料でしたが、現在では色の多様性から商業羊毛が100%です。
チマヨ地方にはたくさんの織り工房がありますが、現在マライカで扱っているのは3つの工房のモノ。
Ortega オルテガ
Centinella センチネラ
Trujillo トルフィーリョス

工房それぞれ、専属のウィーバー(織る人)や委託のウィーバーが20人ぐらいいます。
●チマヨベストと言えば、オルテガ。
1700年代、ガブリエルオルテガさんから伝わる第8世代に渡る300年以上続く工房です。
オルテガと言えば、このボタン。

コロンとしたボタンと、チマヨ柄。
このダイヤモンドデザインとも呼ばれる独特なギザギザデザインが、「チマヨ柄」と呼ばれ、昔からこの地方で織られてきたものです。
オルテガでは、バッグ、マット、コースターなどラグで作られた様々なものを作っています。


ビビットな赤~ブルー、シックなブラックなどイロトリドリ。
個人的な感覚では、オルテガはチマヨ柄という伝統を守りつつ、色展開がとても鮮やかで豊富というイメージです。
長くなりそうなので、次へ続く・・・。
インディアンジュエリーがたくさん置いてある数店舗には店頭にありますのでぜひご覧になってみてくださいね。

Harrison Jim 工房探訪③

さて、いよいよ最終段階。
磨きに入ります。
ちょっと準備が・・・・と息子君がホーガンの裏へ。
ブオーンと発電機をスタートさせました。
ハリソンはでっかいジャケットを羽織って外へ。
磨きのバフマシーンは外にあります。電気がなければ使えないので、いつも発電機を使うんだそうです。
バフをかけて、

できました。

ハリソンのトゥファの作品は、どこかメタリックな、鉄や他の鉱物を連想させるような力づよさがあります。かといって、ナジャなど丸みを帯びたデザインになるととても優しくて、でもすごくきっちりしている、そんな印象です。

ハリソンがバングルなどを作るときにつかう、インゴッドシルバーを伸ばす時のローラー。

古いタイヤのパーツなどと接続させて、自分の使いやすいようにカスタムしたんだそうです。

厚みを変えて何回もローリングすることで、目が詰まった、でもスタンプが深く入るシルバーができるので、インゴットにこだわるんだとか。
その時ちょうどネックレスの製作途中でした。

手間のかかるハンドメイドビーズ、ハリソンはこういった地道な作業も得意です。
しっかりとした重さのあるハンドメイドのビーズをつくる、数少ないアーティストです。
それに合わせられるのがこの豪華なクロスたち。

こんな風に作られました。

簡単そうに見えますが、こうやって細かいところまで均等にシルバーを流していくのってすごく難しいんです。このやり方にはびっくりでした。
この朝も、いろいろな人が訪ねてきてたわいもない話をし、ザ、ナバホというライフスタイルを送るハリソン。そんな中から彼のデザインも出てくるんだなと感じました。夏には毎年トウモロコシを育てているそうですよ。

Harrison Jim 工房探訪②

ハリソンジムのリングメイキングの続き。
いよいよシルバーを流し込みます。
ハリソンのデザインはとても細い彫刻刀で、深く細かいデザインを刻んでいきます。
まんべんなく温めると、こんな感じで細かいデザインの部分が真っ赤になっています。

うまくシルバーが流れ込むように、絶妙な深さ加減が必要なんだそうです。
出来上がりのデザインを、トゥファに埋め込むようにデザインしていく・・・。トゥファだけ見ただけでは、どんな凹凸になるのか、素人目には想像がつかないです。
シルバーを熱し、流し込みます。


うまく流れ込んだようで、一発成功!

余分な部分をやすりで削り、滑らかに。
表面にデザインのスタンプを刻んで、
次はリングの形に形成していきます。



この成形の過程が、かなり長い!様々なテクニックを使って、表面の質感も変えています。

上出来・・・の様子。
長くなったので、またまた次に続きます。

Harrison Jim 工房探訪①

先月のモノマガジンにも大きく取り上げられた、Harrison Jim
ナバホの伝統を生かしながらもどこかきっちりとした西洋のジュエリーのような風合いを醸し出す不思議な彼の作品。
そんな彼の工房に行ってきました。
ニューメキシコ州、ギャラップの町の東、町からすぐのリザベーションに住むハリソン。

彼の家は、ナバホ族の伝統的な6角形の家、ホーガンです。
彼の住むホーガンには電気、水道、一切なしですが、発電機と、隣の家には電気水道通っているそうです。
ホーガンの入り口は、必ず東(朝日の方向)を向いています。

天気が良くなってきたから昨日は畑を耕して作物の準備をしたというハリソン。
町の近くに住むナバホ族には結構珍しい、かなり昔ながらの暮らしをしています。
一番に目に飛び込んだのはこのストーブ。

まきストーブの上でスープを作ったそうです。
朝8時集合だったので、ちょうど朝日が降り注ぐ中、入り口を開けて太陽を浴びながら作業を始めてくれました。

トゥファストーンにデザインを描き、今回はリングを作るところを見せてくれるそうです。


中心とサイドの線を引き、後は自分の感覚でデザインを入れどんどんと削っていきます。
アーティストによって、細かく計ってラインを引きながら作る人もいれば、感覚で作る人もいてその違いが面白いです。
デザインが出来上がったら、シルバーを流すための空気穴を作っていきます。
ここで、トーチを取り出しておもむろにトゥファストーンを真っ黒に!

これは初めて見る技でびっくり。だからハリソンのできあがりトゥファストーンはいつも真っ黒なんですね。トーチの空気量を少なくして、煙だけをあてるのだそうです。

次に続く・・・・。