ハードミュージアム2023

お久しぶりになってしまいましたが、こちらアメリカ駐在元気です!

先週末はハードミュージアムショーがアリゾナ州、フェニックスで開催されました。

こちらがベストオブショーを獲得した作品。

Dinetah-Poly

というタイトルの、ナバホ式モノポリー。家がホーガン、駒が馬、全てシルバーです。すごい大作ですね!

天気も良く、人も多かったです。

 

今年はとても雪が多く、その数日前はこんな様子。

雪でフリーウェイが閉鎖したのが2日前でした。

 

 

そんな今は、春夏のオーダーで大忙しです。石のピック準備、オーダーを考えてアーティストに渡している時間は至福の時でもあります。と同時に、「ちゃんと出来上がりますように」という祈りも込めながら。

まだ寒いアメリカでは今、流行っているものがあります。

こちら、リングをスカーフホルダーとして使うスタイル。

ちょうど春先でジャケットが薄いけどスカーフ巻きたいというときに、スカーフ留めにリングをサラッとつけるスタイル。

こちらはアレックスのバンプアウトリングですが、こちらアメリカではリングよりもスカーフホルダーとしてよく売れます。

メンズの方もバンダナに使えます!

ピンをつけるのもオススメです。

 

冬に突入したニューメキシコ州、選挙の話

10月末には雪が降り、急に冬な感じになってきました。

そして今日は風速40キロの強風が吹き荒れ、雪も混じっています。

今日はジュエリーの話ではないですが、ナバホネーションの話。アメリカの中間選挙が行われた日と同じ一昨日、ナバホネーションでも大きな選挙が行われとても盛り上がっていました。

ナバホネーションの選挙では、投票所の周りで候補者やそのサポーターたちが色々食べ物を振る舞ったり、水や飲み物、お菓子を配ったりしていて、とてもとても面白いんです。

 

投票に行けば、お昼や夕飯も食べられるシステムです。

どんな選挙だったかというと、来年2023年から4年任期のナバホネーションの大統領、そしてその下の24人の議員を選ぶ最終選挙。

ナバホネーションの大統領は、現職のジョナサン ネズ氏に対抗してブー ナイドレン氏が立候補していました。

色々と政策とか細かいことは置いといて、この対抗候補のブー ナイドレン氏は、なんと35歳。この方です。

ソーシャルメディアでの積極的なキャンペーンを行って、とてもとても強力な支持者が多かったのですが、実際のところ何よりも若い!そして現職のネズ氏はパンデミック中にナバホネーションを閉鎖し、物資を自らの手で運んだりした大統領。

さて、結果はどうなるんだろうというかなり注目された選挙でした。

 

結果、ブー ナイドレン氏が勝利!!

歴史的な瞬間を目の当たりにしました。

来年から、ナバホネーションがどうなっていくのか、とてもとても楽しみです。

 

そしてもう一人、マライカのお抱えアーティストであるスティーブアルビソ氏も実は議員に立候補していたんですね。

 

私も選挙の日はスティーブのブースのお手伝い。なんと300人分のマトンシチューとフライブレッドを配りましたよ。

こちらも現職の議員さんへの対抗馬だったのですが、スティーブ氏も無事新しい議員の座を獲得しました。

1月からはジュエリーを作っている暇がなくなりそうなので、今のうちにたくさん作ってもらっておかないとですねぇ。。。

まさかナバホの政治にも詳しくなるとは、人生分からないものです。

というわけで、新しい議員と新しいナバホネーション大統領に来年から期待です!

ハイグレード石&ゴールドもの

ご無沙汰しております。

こちらニューメキシコ州も寒くなってきて、冬支度を始めている人も多々。アメリカは相変わらずの毎日ですが、日本からの旅行で帰国時の陰性証明が要らなくなったので、ワクチン接種さえ終わっていればアメリカに来ることができるようになりました。

とはいえ、円安とアメリカ国内のインフレはまだまだ続いてますのでなかなかアメリカに行くにはかなりの気力と体力が必要ですね。

手の込んだズニの作品、ハイグレードの石もの、ゴールドの作品など、日本に流れていっているたくさんの作品はどれを取っても「今後はこの金額では絶対に出せません」と断言できる程、刻々とジュエリーの価格が上がっているのをここニューメキシコ州でもひしひしと感じています。

少しずつ集めていたハイグレードの石を作品にしてもらったものが、続々オンラインショップに掲載されています。

以前日本の雑誌でも、「インディアンジュエリーに投資する」という特集が組まれていましたが、本当にハイグレードの石を使ったインディアンジュエリーはレアで高価になっています。

ハワードネルソンのビズビーリング。

ビズビーの価格も信じられないぐらいに高騰してます。

こちらは鉱山主から買ったキャンデラリアをロンべドニーにセットしてもらいました。ロンべドニーのハンドメイドベゼルとスタンプ、そしてスパイダーウェブのバランスが素晴らしい作品。

 

こちらも鉱山主から買ったハイグレードアパッチブルー。このリングの作家、キーヤジーはハイグレードターコイズを使うことでも知られていますが、今回は特別にこちらからターコイズをお願いして作ってもらいました。

 

こちらは総14金リングシリーズ。

ゴールドの要望もとてもとても多いですが、財産として考えるぐらいの価格にはなってしまいます。石はというと、、、、長年金庫で保管していたまさしく「財産」となるターコイズの王様を大切にセットしてもらいました。

 

ほとんど見ることのできなかったゴールド作品を、ホピの作品でもお願いして数点作ってもらっています。ゴールド作品を特別オーダーしたからこそこの価格で出せますが、カスタムで一点、とかだともっともっと金額が高くなります。

 

こちらはまた珍しい作品。作家は エディソンサンディスミスです。

この石は70年代からエディソンがクッキーの缶の中に忍ばせていたものだそうです。自らカットし、大きな石のリングに仕上げてくれました。

エディソンはこちらからお願いしない限り、石ものはこういったグリーンのカラーが好きでよく使っています。「アーティストの石の好み」というのは長年バイヤーをやっていないと分からないとても大切な情報でもありまして、いくら売れるからと言って「アーティストが好きじゃなさそうな石」はなるべく渡さず、テンションが上がりそうな好みの石でお願いするように実は心がけていたりします。

 

 

100周年インディアンマーケット

先週末はサンタフェのインディアンマーケットでした。

去年は開催はされましたが、人数制限などがあり例年とは少し違った様子でした。

今年は「元に戻った」と言えるインディアンマーケットだったのですが、なんと初日の土曜日は一日中雨。

雨が降って夏とは思えない寒さで、アーティストたちも近くのお土産屋さんやスーパーでレインコートやらパーカーやらを買う始末。

今年は100周年ということで色々と盛り上がっていたのですが、雨で土曜日は少し客足が少なかったような気がします。

雨が降ることはありますが、30分とかですぐ止むぐらいの雨しかみたことがなかったのでお客様も、アーティストも終日雨の話。

でも日曜日はしっかり晴れ、たくさんのお客様が訪れていました。いつものアーティストに挨拶をして、サンタフェでしか仕入れができないアーティストものを何点か仕入れて、色々歩き回って私もクッタクタ。

そんな中、11月に行われるナバホネーションのプレジデント(大統領)の候補者の一人である彼、右側の人がインディアンマーケットで選挙活動をしていて、スティーブアルビソ(左)と記念写真。

現職のプレジデントとの一騎打ちの11月の選挙、この新しい候補者は少し改革派で、若者に絶大な指示を受けています。

 

こちらがメインの通り。人が多いですが、やはりまだ海外からのお客様は少なかったので国内のコレクターや観光客の方が多かったです。

アーティストはいつも会えると思いながら毎回写真を撮りそびれてしまうのですが、みんな各々元気に忙しく出店していましたよ!

 

こちらはマーケットでたくさん歩く前の腹ごしらえ。サンタフェバイトという有名なハンバーガー屋さんのバーガーにアボカドトッピングが個人的には好きです。

 

アメリカではいいターコイズのものが本当にどんどんと減っています。そしてズニのクラスターの作品。市場をチェックしながら、今後どういうものをオーダーして行こうか考えるいい機会でもありました。

8月はアメリカもジュエリーの季節

お久しぶりです!アメリカ駐在員ブログ、久々の投稿になってしまいましたがこちらアメリカニューメキシコ州は8月は大盛り上がりしております。

先週、ギャラップインタートライバルセレモニアルというお祭りが行われました。

この夏、アメリカでは色々なイベントがパンデミック前の規模に戻っていて、このセレモニアルも大きく開催されました。

アメリカ駐在R、実はこのセレモニアルのジュエリーの審査員をさせて頂いてまして、今年もジュエリーの審査をしました。

丸一日ジュエリーを眺め、審査員同士で意見を言い合いながら決めていきます。

こちらはバスケットの大賞。

この後審査員が全員集まって、どれを賞全体の一位にするか議論をしていきます。

そして、賞全体の一位となったのが、レイモンドヤジーのインレイのバングルでした。その名も、「遺産」と呼ばれる作品。

 

その下には、リンドンツォーシーのシルバーセットが並んでいます。

今年は100周年ということで、賞金も1万ドルという大金。新聞にも大きく取り上げられています。

そして、今週末はサンタフェのインディアンマーケットが開催されます。

こちらも100周年で、ようやく今年はコロナになる前の大きな規模に戻って開催されます。

そんな中でアメリカの高ぶりを感じ、日本でも猛暑に負けず、ジュエリーを眺めて気持ちを高めて頂けたらと思います。

突然の訃報

アーティストはご高齢の方が多いとは常日頃から発信していますが、やはり訃報を伝えるのは心が重いです。

ダンジャクソンが5月18日に他界されました。

ジュエリーの細かさや独特のデザインももちろんながら、身につけた人が長く使えるように絶対に厚みのあるシルバーを使うなど、ジュエリーに対する哲学や信念がありました。

年齢を重ねたネイティブアメリカンの方はとても知恵深くて懐深いところがあるのですが、ダンジャクソンは本当にその知恵と懐の深さを惜しみなく表現してくれる人でした。いつも私たちを気にかけてくれ、羊を捌いた日には連絡をくれてお昼ご飯にと差し入れてくれたり、私たちの家族のことまで心配してくれる。この仕事を通してこのような方に出会えたことに、本当に感謝します。

アーティストインタビュー「ダンジャクソン」

「全てはハンドメイドで、作家が一点一点作っているものなのですよ」といつも言っているフレーズですが、アーティストが作ることができなくなればもう作られることはなくなる、それがインディアンジュエリーです。

デザインやスタイル以上に、皆さんが持っている作品たちを通してアーティストたちの生活や作っている様子などを想像していただけるともっともっとインディアンジュエリーの奥深さが感じられるかと思います。

オンラインストアでは毎日新作公開中

お久しぶりです。

新入荷紹介が全然追いついていませんが、早くも連休ということでオンラインストアでは毎日新作が公開されています!!!

 

少しずつ外出もしやすくなってきているでしょうか?来週は母の日もありますので、ぜひ店頭で商品を触ってみてくださいね。

アメリカでは旅行する方がとても増えてきていて、ネットで見ていた商品を実際に触ってつけてみて感動されるという機会も多くなってきました。

店頭でたくさんある商品を見ていると、今までは興味をそそられなかった商品にピンと来るというのはよくあることです。着けてみた感じ、重さ、色味、雰囲気などを味わって夏に向けたお気に入りの作品をぜひ見つけてください。

先日はダンジャクソンのリングを目当てに来たお客様が、結局ダレルキャドマンの大きなターコイズ付きのバングルを買われていきました。

いつもの自分のスタイルとは違うものがフィットするという発見ができるのも店頭でトライしてみるとよくあることです。(これを読んでいる店舗スタッフの方々は深く頷いてくれると思います。)

 

さて、こちらの新作はヨヨキ夫妻のゴールドコンビもの。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、このところネットショップにはゴールドを使った作品が少しずつ並んでいます。

コロナ禍でアーティストが厳しいとき、こちらから地金の金を渡してスペシャルな作品を少しずつ作ってもらっていました。

金板は金額が高いのでアーティストでも事前に用意することができる人は一握り。この作品たちも事前に地金をオーダーしてヨヨキ夫妻とミーティングをし、スペシャルな作品を作り出してもらったものです。

やはりヨヨキ夫妻のデザインは柔らかみがあって温もりを感じます。

 

画像

 

一生の宝物になり得るようなゴールドを使ったインディアンジュエリー。これらがこのパンデミック中に作られたというのは作品に更なる思い出を与えてくれるような気もします。

(実はこちらは円が安くなる前の価格で今後はこういった商品もなかなか仕入れづらくなってきそうです。)

 

 

ネイティブアメリカンの儀式の話

お久しぶりです。

ニューメキシコ州はまだ寒く、三月という感じがせず今日も雪予報が出ています。

アメリカは全州でマスクの義務化がなくなり、ニューメキシコ州もマスクをしない人が増えてきていますが、ネイティブアメリカンのマスク着用率はまだ高いです。

今日はホピのジュエリーを値つけしていました。銀板と糸鋸のみで描き出されるその世界には、たくさんの祈りが込められています。

アーティストの中には部族の中で重要な役割をになっている人もいて、ホピ族、ズニ族、サントドミンゴ族など儀式に呼ばれて参加させていただくこともたくさんありました。(コロナ禍で今はほとんどの儀式が部族の中心の人たちのみで行われています)

ちなみにナバホ族は人口も多いし土地も広いので、家族単位でやることが多く部族全体でやる儀式というのはお祭りみたいなフェアーと呼ばれる場所で開催されます。

儀式そのものは写真を撮ることはできないので毎回心に焼き付けるのみなのですが、バッファローダンス、レインダンス、バタフライダンス、スネークダンス、などなど英語の名前がついていない儀式にもたくさん参加させていただいていますが、全てその儀式の中で共通していることは「祈ること」です。

その祈りをクリエイター(世界を創った神)に届けるための儀式。

その中心にあるものが平和です。白人やスペイン人からの迫害を受けながらも、隠れて自分たちの儀式や祈りをやめなかったのは、平和を祈ってきたからだとサントドミンゴ族のカルビンロバトが昨日話してくれました。

コロナが始まった時も、みんなで集まって儀式をすることはできないけど、平和を祈るための儀式はどの部族でも止まることはありませんでした。

どれが売れるか、着けたらどれがオシャレかということに囚われがちな現代のジュエリー論で頭がいっぱいになりがちですが、ジュエリーに祈りを込めるというネイティブアメリカンジュエリーの始まりを思い出させてくれます。

Zuni族のエイミーウェスリーの作品。よく見るモチーフでハミングバードとも呼ばれますが、ズニやホピの人たちは手と手を繋ぐフレンドシップのデザインといいます。

こんなご時世だからこそネイティブアメリカンの儀式についての話をシェアしてみました。

ハリソンジムの技術

久々の更新ですがこちらニューメキシコ州は相変わらず、日本と変わらずコロナとの共生の毎日です。

ニューメキシコ州ではマスクをしている人がほとんどですが、お隣アリゾナ州に入るとマスクが義務化されていないので、逆にマスクをしている人が少ないぐらいという、州や場所によってもコロナとの向き合い方が違うのがアメリカらしいです。

さてただいま極寒のニューメキシコ州。今日は1日中氷点下らしいですが、今回はあまり雪が降らなかったのでただ寒い今です。

そんな中もうご覧になった方もいるかと思いますが、久々のYoutubeアーティストの動画が出ています。

全てを惜しみなく見せてくれたハリソンジム。

伝統的スタイルを貫きながら、でもその労力をあまり語ろうとしない姿はまさに「漢気」と思い感動しました。

勿体無いのでほとんどカットなしで仕上げてみましたので、動画の長さは1時間近くあります。

一本のバングルに込められる時間と労力を、深夜お酒を飲みながら、うっとりとしながら味わって欲しい動画です。

 

 

この動画を見た後、このバングルたちはただのバングルではなく見えるはず。

 

明けましておめでとうございます

ご挨拶が遅れましたが、明けましておめでとうございます。2022年もアメリカ駐在ブログをよろしくお願いいたします。

こちらニューメキシコ州、大晦日の夜に大雪が降りました。東京でも積雪があったとのことですが、白い雪が降り積もる様子はいつでも美しいですよね。

さて年末年始も新しい商品が続々とウェブサイトにアップされています。

 

ネットには続々とアップしているのですが、ここ現地ニューメキシコ州ではアーティストたちのジュエリー作製のペースがとても落ちていて、制作をやめてしまう人も非常に多いです。何回かこのブログにも書いていますが、「ネイティブアメリカンアートが手に入りにくくなった」というのが地方テレビのトップニュースでやっているぐらいです。現地トレーダー同士の話も、どれだけジュエリーを確保するのに苦労しているかという話になりがちです。

なぜジュエリーやクラフト作りをやめちゃうの?とよく聞かれるのですが、人により色々な理由があると思いますがまぁコロナの影響がとても大きいです。

高齢になっていたし、コロナをきっかけに年金をもらうことにして作るのをやめた。とか

政府からの支援金を受けているから作る必要があまりなくなった。とか

銀の価格が高くて作っても利益にならないから作るのをやめた。とか

そんな中アーティストは簡単にすぐ作れるものを作りがちで、ターコイズを使ったものをなかなか作ってくれません!ハイグレードターコイズの一生ものの作品というのがとても手に入りにくくなっている中、見ても着けても幸せになるようなターコイズものを数点オーダーしたものがネットショップにアップされています。

 

スティーブアルビソにオーダーした作品達は原点に戻ったようなシンプルかつオールドスタイルの作品が出来上がりました。

アンディキャドマンも精力的に石ものを作ってくれました。

プリッとした艶のあるアパッチブルー。いつでも見ていられるターコイズです。

 

こちらはダレルキャドマンの作品達。

バングルにはサイドに弓矢をアップリケしたもの。弓矢、矢尻のモチーフはお守りの意味があるので、今とても需要があるモチーフだったりします。

 

そしてアメリカでは定番の人気の大きなターコイズのついたリング。日本だと着けやすい細身が人気ですが、アメリカでは年々「大きくて目立つもの」の需要が増えている気がします。

大きなターコイズのついたリングはそれなりに値段も張りますが、「自分のトレードマークのジュエリー」として毎日いつも身につけるというネイティブアメリカンの人も多いです。特にメンズの大きい石のついたリングはこのリングといえば!というアイデンティティとして身につけている男性が多いと思います。

有名なトレーダーはいつも大きなランダーブルーのターコイズを身につけていたり、アーティストも自分の作った大きなターコイズのリングを身につけていたり、「ターコイズに守られている」感覚もあるのかもしれません。