確かな仕事、ハーマンスミス

アメリカンな食生活が続いているからか、ここのところ風邪ばっかりひいてます。生活を改めなければ・・・と思いながらも外食でのカロリーの誘惑にはどうしても負けてしまう。あー他人が作ったおいしい普通の日本食が食べたい!

アメリカの食事もそうですが、毎日見ているとどうしてもそのすごさを当たり前だと思ってしまう、そんなインディアンジュエリー。

ハーマンスミスはなんというか、その代表格の一人な感じです。さらっと毎日色んな作品を持ってくるのですが、改めて見るとそのすべてにムラというものがなく、すべてが確実な仕上がり。

バンプアウトを裏から見たところがまたクリーンなのです。

作家によっては、色々な道具をそろえ色々な方法で作る作家もいますが、ハーマンスミスは真逆。自分が持っている最低限の道具で作る。(本人としては最低限という意思はないのかもしれません。)

ライフスタイルも狩りが大好きで奥さんの記念日には必ず何かをプレゼントする、そんな人です。

訃報 Steven J Begay

昨日、スティーブンJビゲイ氏が永眠されました。

ヘビーゲージなオーバーレイの作品、それまでのインディアンジュエリーという世界を超えた、卓越した新しいインディアンジュエリーの世界を開いてくれたアーティスト。日本とインディアンジュエリーのつながりを作ってくれた、老舗ともいえる作家さんです。

 

ご冥福をお祈りいたします。

伝統の継承

まだ寒い日が続いているニューメキシコ。相変わらず泥んこのリザベーションロードにハマり、抜けられなくなっている車が多数です。

さて、こちらはホピ族ジェイソンタカラ氏の息子、ジェイソンタカラ。ややこしい!

父ジェイソンタカラは名前にSr.(シニア)がついていて、息子ジェイソンタカラにはJr.(ジュニア)がついていますので同じ名前ではないのです。アメリカではよくあるこのシステム。シニア、ジュニア、サードⅢなんてつくときもあります。来客があったときとか呼び名が同じで面倒じゃないのだろうか・・・なんて考えちゃいます。

ちなみに私たちは、シニアの父の方はジェイソンタカラ、息子の方はジェイソンジュニアと呼んでいます。

今まであまりジュエリーには興味を示さなかったというジェイソンジュニア、チェーンを作るのは好きでよく手伝っていたそうです。そこから、カッティングも始めて少しずつオーバーレイも作っています。

カッティングの細かさ、正確さで知られる父ジェイソンタカラの名前があるので、買う方もやはりつい比べてしまいます。ハードルがすでにかなり上がってますよね。

伝統の継承は難しい、と思う瞬間です。それでもこれを誰かが続けていかないとこのスタイルはだれにも継承されることなく、父ジェイソンタカラが作るのをやめてしまったらそこがピリオドになってしまう。

BoReeves、John Michael Lister,などマライカで世代を通して取引できることは、誰かが継承しているということ、作り手の年齢が上がっていき、ビジネスも難しいこの景気の中では子供世代が継承して作り続けているのはほんの一握り。とても大事なことだと思います。

作家として技術を上げていくのと同時に、デザイン力を身につけさせているという父ジェイソン。こちらは父ジェイソンのデッサンとともに仕上げられたペンダント。こういう父を持った息子というのは、よっぽどの精神力が必要なんだろうなぁと思った一日でした。

 

ランディババの新作

トゥファキャストで鋳造された銀の塊を、パウディングにして成型していくランディババの作品。毎回根掘り葉掘り聞いてしまうのですが、人柄や文化の背景がありとても興味深い話をしてくれます。

このバングル、エッジの部分が丸くへこんでるのが分かりますでしょうか?ハンマーでひたすらたたきながら銀の形を変えていく、そのパウンディングがされている証拠です。パウンディング後にエッジのやすりをかけたりすることもありますので、全部が全部あるわけではないのですが、こうやって力強く作り出されたものたちです。

↓この下のバングルのエッジ部分もパウンディングでサイズダウンしていったことがよくわかります。

スタンプを自ら作り、古いスタイルを継承していく。

実は1980年代からシルバーワークを始めたというランディババ。白人がインディアンジュエリーを作るというのは、当時は今よりもさらに風当りが強く、特にオールドスタイルを作るランディはトレーディングポストで何回も自分が作ったものだと信じてもらえなかったと言います。

時代を感じられる作品は、時に自分の刻印を消され、オールドポーンの本当に古い商品だと偽って何倍もの価格で売るトレーダーもいたそうです。そのため当時はどんなに削ったり磨いたりしても落とせないようになるべく深い刻印をつけていたといいます。

ネイティブアメリカンが受け継いでいる作品を白人である自分たちが作る、だからこそより研究しているしより精魂を込めて作っている。

ただ真似して作っているのではなく、どの温度で、どういう製法でやるとどういう結果が出るか、古いスタンプを作るにはどうするか、古い質感はどうやったら出せるのか、常に考えている、そういう姿勢がジュエリーにも表れています。


ランディの右腕であるジョー、ランディババジェシー