トゥファキャストで鋳造された銀の塊を、パウディングにして成型していくランディババの作品。毎回根掘り葉掘り聞いてしまうのですが、人柄や文化の背景がありとても興味深い話をしてくれます。
このバングル、エッジの部分が丸くへこんでるのが分かりますでしょうか?ハンマーでひたすらたたきながら銀の形を変えていく、そのパウンディングがされている証拠です。パウンディング後にエッジのやすりをかけたりすることもありますので、全部が全部あるわけではないのですが、こうやって力強く作り出されたものたちです。
↓この下のバングルのエッジ部分もパウンディングでサイズダウンしていったことがよくわかります。
スタンプを自ら作り、古いスタイルを継承していく。
実は1980年代からシルバーワークを始めたというランディババ。白人がインディアンジュエリーを作るというのは、当時は今よりもさらに風当りが強く、特にオールドスタイルを作るランディはトレーディングポストで何回も自分が作ったものだと信じてもらえなかったと言います。
時代を感じられる作品は、時に自分の刻印を消され、オールドポーンの本当に古い商品だと偽って何倍もの価格で売るトレーダーもいたそうです。そのため当時はどんなに削ったり磨いたりしても落とせないようになるべく深い刻印をつけていたといいます。
ネイティブアメリカンが受け継いでいる作品を白人である自分たちが作る、だからこそより研究しているしより精魂を込めて作っている。
ただ真似して作っているのではなく、どの温度で、どういう製法でやるとどういう結果が出るか、古いスタンプを作るにはどうするか、古い質感はどうやったら出せるのか、常に考えている、そういう姿勢がジュエリーにも表れています。