先日ナバホのアーティスト、アーノルドグッドラックのお宅にお邪魔しました。
彼の家には大きな牧場があり、ローピングの常連でもあるアーノルドが乗馬を教えてくれるというのです。
元々スペイン人がアメリカの地に持ち込んだをされる馬や牛や羊ですが、狩猟民族のナバホ族とは深い繋がりがあるようです。ズニやホピではすっかり見かけなくなった馬ですが、ナバホの居留地では今も別に大切に飼われています。
さて、乗馬が終わりお待ちかねのデイナーになりました。
アーノルドの家では料理上手な奥さんがいつもフライブレッドやナバホシチューなど伝統的な料理をご馳走してくれます。この日のメニューはマトン(子羊)のシチューでした!
夕食をとりながら、お互いの文化の違いについて話をしているうちに、すっかり話はラグになりました。
先週のインディアンマーケットにてサンシャイン・リーブスの奥さんもラグを出展していましたが、ナバホの女性にとっては編み物の様に、一つの趣味のようです。せっかくなので、アーノルドの奥さんに今製作中という織りかけのラグを見せてもらいました。
1、羊の毛から毛糸玉を作る
このような道具を使って、羊の毛を伸ばして紙縒りながら糸状にします。
こうする事で糸がとても丈夫になるんだとか。
2、毛糸を自然の染料で染める
居留地には様々な植物が生えています。その自然の色を煮出して毛糸を染めます。
3、織る
縦にピンと張った糸に毛糸を編みこみ、“ヘラ”と“くし”を使って間を積めながら模様を織り出します。
このヘラとくしは曾祖母から受け継がれたものだそうです。
年期が入っていますね!!
ラグとナバホ族には深い歴史があります。
元々綿で織物をしていたナバホですが、織物は酋長が雨乞いの儀式で厳しい自然から身を守るものとして使われてきました。
それが19世紀に入ると、ヨーロッパ系の白人に人気が出て、白人向けのラグへと姿をかえました。それに向け、綿から羊の毛に移り変わったのもこの頃です。
ですが、人気に押され生産されたラグは次第に質より量になってしましました。そこで活躍したのがトレーディングポストを営む白人達でした。
彼らは東洋の優れた技術を融合させたり、オリジナルのパターンを編み出したり、PR活動をするなどして、一度廃れてしまったラグの再び命を取り戻しました。
今日では時間がかかる為、日常で織る人はだいぶ減ってきましたが、今でもショーなどでは素晴らしいラグを見かけます。そして、子供達も織り方を親から引き継いでいるそうです。
アーノルドの奥さんのラグ、1m×1m半の大きさですが、完成は一ヶ月後だそうです。
出来上がりが楽しみです!