豊富なバリエーションとグレードの高いターコイスを使用したアイテムが自慢のマライカですが、今回はそのターコイスを支えるファンデーション、シルバーの土台についてその魅力をご紹介いたします。
インディアンジュエリーに使われている彫金の技法は様々。今回触れるのはスタンプワークについてです。
オールドスタイルのジュエリーに、避けて通れないテクニックの一つにスタンプワークという技法があります。
銀板にシルバーよりも硬い金属で模様を打ち付け、連続したその作業から様々なデザインが生み出されます。
作家によってはスクリューの棒やねじなど、身の回りにある利用できそうな素材全てをスタンプに変えてしてしまいます。
もちろんシルバーサプライにも様々なパターンのスタンプが売っていますが、多くのシルバースミスがオリジナルのスタンプを持っています。こちらはゲイリーリーブスの使っているスタンプ。
石の存在感とはすごいもので、何の変哲もないシルバーの土台に、一つターコイスが乗るだけでまったく違う作品へと変えてしまう威力があります。
だからこそ、あえて石を使わず、シンプルなスタンプワークだけで勝負しているオールドスタイルの作品からは、玄人にしか出来ないバランス感覚や感性、経験値といったものを直に見て取る事が出来ます。
写真はサンシャインリーブスの作品。
彼はジュエリーだけでなく、こういった服飾のアイテムから雑貨まで手掛け、見事な職人技と感性で作品を作り上げます。
スタンプワークの様なさり気無いシンプルなアイテムを、バックルやピアス、コンチョなどで分散させて身に付けるのも面白いです。
ジュエリーを複数組み合わせたコーディネイトがどうも難しい。。。ごてごてになってしまう、バランスが悪い、とお思いの方にもお勧めです。ターコイスやインレイなど、石を使用したアイテムをバランスよくまとめてくれるからです。
インディアンジュエリーというマニアックなジャンル。このターコイスはどの鉱山のものなのか、ナチュラルなのか、ウェブは綺麗か、色はどうなのか、、、こだわっていけば気になるのは当然です。しかしその石を支える素材について、丁寧に観察し、実際に身につけ、理解を深めながら目を肥やす事も、忘れて欲しくない大きな醍醐味です。
着まわしが出来る洋服の様に、気がつくといつも身につけている、そんなアイテムとして重宝していただけるはずです。
ターコイスが付いていないインディアンジュエリーにはあまり興味が持てない、と思われる方は多いと思います。
私個人の捉え方かも知れませんが、シンプルな、たった一つの素材や方法でどこまで表現を広げられるか、もの造りをする時、これが最も難しく重要な事なのだと思います。ゴージャスにデコレーションする事よりも時に何倍もの工夫が必要とされ、作家の素の実力が全面に出てしまうからです。
石の魅力に囚われることなく、銀という素材にひたすら正面から向き合う作家の心意気には『シビレル!』の一言です。