和に通じる繊細な美!

先日、ズニ族レイラン&パティー・エダーキー夫妻の家に遊びにいってきました。
レイラン&パティーは、貝や石を小さく削りそれを組み合わせて模様を作り出すインレイという手法でジュエリーを作っています。この手法は古くからズニ族が得意とする手法です。
この夫妻のジュエリーはその淡い色使いと、細かい仕上がりが美しく、他のアーティストとは一線を引く仕上がりです。
こちらが彼らのジュエリーです↓
中央にはわずか5mmほどのデワ(サンフェイス)があしらってあります。
細いライン一つ一つが薄い石をはめ込んで作ってあります。

本日は彼らのメーキングを取材させてもらいました。
インレイがいかに手間のかかる作業なのか、職人技にため息の連続でした。
石を組み合わせ削る際には、なんらかの印しをつける訳でもなく長年の感でその1mm以下の細かさに迫る技術はまさに職人技でした。

ジョークが飛び交う仲のよい夫妻ですが、仕事はそれぞれが各パートを分業しています。レイランの作った型に、奥さんが石や貝から作ったモザイクをはめ込み、最後にもう一度レイランが命ともいえる“デワ”をはめ込み磨きあげます。
歯医者さんのようにきれいの整頓された仕事場は彼らの几帳面な性格がよくでています。
この小さなキャンバスともいえるインレイの原材料ですが、現在はサプライと呼ばれる材料屋さんで世界中からのシェルや石が揃います。インレイに使われる伝統的なターコイズといえば、綺麗な空色のスリーピングビューティや緑のフォックスです。今はこうしたサプライのおかげでいろいろなターコイズが手に入るようになり、その表現の幅も広がりました。
時代と共にジュエリーの手法も変化しています。
今は『スーパーグルー』という瞬間接着剤があり、それを間に挟み接着する事によっていろんな貝や石の組み合わせが可能になりました。大昔のインレイはベゼルと呼ばれるシルバーの型を石の曲面にはわせ、一個ずつ固定したそうです。
↓このようなシルバー枠です。

アンティークには素朴な温かみの良さがあり、今の進化したジュエリーには昔は表現できなかった美しさがあります。
帰りにスペシャルなお土産をもらいました。
ズニの特別な湖で採れる塩です。彼らは“ズニソルト”と呼び、この塩に特別なパワーがあると信じています。日本にいる私たちの家族にまで気遣って、この幸運の塩をくれました。
市販の塩よりも大きく結晶化されていて、光を当てるとクリスタルのような輝きがあります。

ズニにはこの塩にまつわる不思議なストーリーがあります。
この塩の湖にはソルトウーマンが住んでおり、彼女を怒らせると塩が採れなくなるんだそうです。なので彼女が嫉妬しないように、この湖に近づいていいのは男性のみというルールがあります。女性は覗く事すら許されません。
長年の間、ズニの人々はその掟を守りその恵みの塩のパワーにあやかってきました。
細かく砕いて料理に使うだけでなく、お祈りの際に大地にまいたり、また旅人に持たせたりするそうです。
ありがたい塩をもらったのもそうですが、二人のその温かい心遣いも嬉しかったです。