昔々・・・。

みなさま、連休は満喫できましたでしょうか??
こちらは相変わらず風が強く、今日は風速50メートル!!
雪が降っているかのように、チリが舞っています。
こんなときに外に出て、家に帰ってきたときは顔がざらざら、髪は砂を含んでかぴかぴ、耳の中はごそごそ・・・と一目散にシャワーへ駆け込む日々です。
さて、連日異常なまでに高騰していた銀の価格が、ビンラディンをとらえた!というニュースから、一気に暴落・・・。過去に例がないほどの急激な値下がりをしました。といっても2,3年前に比べるとまだまだ2倍ほどと価格は高いのですが・・・。このまま下がり続けることを、銀加工業界としては切実に願っております。
ドルや紙幣に対する信頼感が高まったから、金や銀への依存が減ったとか。
さて、以前お年寄りのシルバースミスに会ったときに、とても興味深いお話を聞きました。
昔々、何の道具もなかった時代。
シルバーを、まきストーブの火で溶かし、石の上に流し、それを鉄や金属の塊で伸ばしてバングルを成型していたそうです。道具は、鉄道で使われていた使用済みのもの。
現在では、銀のシートは豊富にサイズがそろえられていて、スタンプも好きな形をオーダーでき、型で鋳造された土台がたくさん売っており、ジュエリーを作るための道具はすべて簡単に手に入ります。
そんな中、あえて伝統を守り続け現代的な道具を使わずに作られたジュエリーが、日本ではずっと不変の人気です。
「インゴッド」と呼ばれる銀の塊から作り出される作品。
溶かしたシルバーをローラーで伸ばしながら板にするため、銀のやわらかさが現れます。

このハリソンジム、数々の巨匠からのインスピレーション、直接指導によりどんどんと技を磨いています。自らを「計測に狂っている」というほど、デザインする際のマーキングは細かく正確に測り、すべてを完璧にしておくそうです。
だからこそ出るこの「狂いのない」精密なジュエリー。
以前、「このバングルにスタンプを何個打つか数えてみたんだけど、730個だったよ」なんて言っていました。しかも、スタンプの深みを出すためにすべてのスタンプを2回打つとのこと。「だから1500回スタンプ打っていることになるね」と。聞くだけでも疲れちゃいます。
ハリソンジムは、あまりジュエリーショーなどに出店しないアーティストなので、名前はそこまで有名ではありませんが、現地ではすでに名を知らしめているアーティスト。
この作風はすべてインゴットシルバーから作品を作り出す、彼にしか出せない!と思います。

「コインシルバー」
昔の、銀貨を溶かした銀を使用した作品。
銀の純度は低いものの(通常は92.5パーセント、コインの場合は90%ほど)、コインシルバーでしか出ない味は何物にも代えがたいものです。
銀の塊を伸ばした時にできる、表面の傷も年月を経ると非常にいい味を出します。