日に日に暑くなってるニューメキシコ州です。
昼間はもう半袖で十分!
さて、先日ナバホ族ドールの有名アーティスト〝Cecil Miles〟さんの訪問がありました。
ナバホ族の中ではかなりレアなイェイ・ドールの作り手さんです。
彼の作品は有名ミュージアムやナバホカジノなどから依頼を受けるほどの腕前です。
そのディティールの良さは溜息のでる秀逸なものばかり。
はじめに『イェイ・ドールってなんだ?』って思われた方もいらっしゃる事でしょう。
ホピ族、ズニ族をはじめとするプエブロ族は自分達の信仰する精神世界の精霊カチナを木に彫刻して〝カチナ・ドール〟を作ります。
その点ナバホ族にはカチナ信仰はなく、〝イェイ信仰〟なので、精霊イェイをドールにしたものを〝イェイ・ドール〟と呼ぶわけです。
現在ナバホ族の人は民芸品としてプエブロ族のカチナ・ドールを作る人は結構いますが、自らの部族のイェイをモチーフに作る人は極めて少ないのです。
イェイ・ドールを見かけたらそれはかなりレアなんです!!!
ナバホ族には夏にスクオダンス、冬に〝Yei-Bii-Chei〟イエイ・ビ・チェイ・ダンスを伝統的な信仰で行います。
基本的に彼らの文化・信仰を守る為にそうした伝統儀式はどこの部族でも撮影等の記録行為は禁止されています。
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なのでその様子を伝えるのが難しいのですが、今回はちょっとだけイエイ・ビ・チェイ・ダンスの儀式の様子を想像してみてください。
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イエイ・ビ・チェイ・ダンスは真冬のしんとした空気の中、真夜中から明け方にかけて9日間行われる祈りの儀式です。
この儀式に登場するのは以下の通り。
〝癒されるヒューマン1人〟
〝メディスンマン(祈祷師)1人〟
〝歌い手数人〟
〝イェイ6対〟
チーフのイェイだけ羽の頭飾りにホワイトのマスクをしており(写真ありませんが…)、チーフ意外のイェイはブルーのマスクをしています。実はブルーのマスク一体ずつペイントが違います。
〝レインボーガード〟
〝レインボーゴット〟
ホーガン(丸太で作った伝統的住居)の中でメディスンマンによる祈祷、そして歌い手によるナバホ語の歌が儀式のはじまり。
それによってホーガンの中からイェイと癒されるヒューマンが登場します。
ナバホの人々によって見守られる中、8日間彼らは歌い踊り祈り続けるのです。
その姿は決して派手なものではなく、イェイとヒューマンの対話といった雰囲気です。
そして9日目の最終日にはレインボー・ゴットとレインボーガードが現れるのです。
守られるべき伝統儀式なのであまり詳細は教えてもらえませんが、ただ何時間もその光景を見守るナバホ族の人々の信仰心には驚かされます。
特に寒い中何時間もブランケットに身を包みながら儀式を見守るおじいさん、おばあさんをみるとなんだか感慨深いものです。
無数の星空の中、焚き火の光に照らされたイエイ・ビ・チェイ…思わず宇宙を感じさせる光景というのが個人的な感想です。
イェイをモチーフにしたジュエラーは何人かいますが、Ervin Tsosieというアーティストの醸し出すスピリチュアルな雰囲気はこの信仰心にあるんだな、と感じます。
彼は単なるイェイスタイルのジュエリーを作ってるわけではなく、ナバホ族としてのスピリットをジュエリーに刻んでいるように感じます。
一言一言ゆっくりとなにかを感じながら話す姿は不思議と引き込まれるものあります。
ファッションだけではなく、彼らの文化背景、精神世界と共にインディアンジュエリーがもっと愛されたらいいな~なんて最近思うわけです。。