アーティストインタビュー カルヴィンロバト スピリット編

アーティストインタビュー カルヴィンロバト 歴史編

↑前編はこちらです。

 

アメ駐:ヒシのジュエリーというのは伝統的な細工でたくさんの作家がいるけれど、カルヴィンはそういう意味では自分自身のジュエリーについてどう思いますか?

カルヴィン:ショーに出したりして、売れないときもオーダーが少ない時もあるけれど、僕のジュエリーが他の人と違うとすれば、それはすべて商品に現れていると思う。

アメ駐:どういう意味?

カルヴィン:僕は最低限の材料の説明はするけど、他の人と比べてここはこんな風にこだわっているとか、そういったことはなるべく言わないようにしている。それは商品を見ればわかると思うし、他の人を批判したりすることになるからね。作家どうしはけなし合うのではなく、褒め合いたいから

技術的に言うなら、たくさんの色々な素材を使っているというところかな。新しい素材を試すのは楽しいし、デザインするピーラーの腕がいいからね(笑)

アメ駐:私からすると、カルヴィンは「ジュエリーを商品というよりも道具としてみている」ような感じがします。

カルヴィン:そう、僕の作品は、「神様の祝福や幸運を運ぶ道具」なんだよ。僕の刻印は四角のメロンシェル。四角は、ネイティブアメリカンにとっての神聖な4つの方向を表しているから、これは僕の作品から絶対に外せないものなんだ。一回、何が目的かはわからないけどその刻印を外してくれと言われたことがある。その人とは僕はビジネスをしないけど、その時目先のお金だけを目的としていたら何も考えずに刻印を外して売っているだろうね。

売る前に祭壇にすべての商品を置いて、祈りをささげる。この商品たちには、「目に見えない神様からの祝福」がのっている。僕は商品としてそれを届けているだけなんだ。

 

アメ駐:なるほど、だから多くを語らなくても「商品が語りかける」っていつも言うんですね。

カルヴィン:そうだね、作り始めるときも一緒で、「日本に行きたいのは誰かな?」なんて素材に話しかけるときもあるよ。(笑)

アメ駐:あと聞きたかったことは、「伝統工芸品」ということについて。若い人たちはこういった時間がかかる手作業の工芸品というのをやりたがらないですよね?そのことについてはどう思いますか?

カルヴィン:うーん、コンピューターでデザインして、コンピューターが作ったヒシっていうのもあるけど、、、、。歴史的に見れば、ヒシネックレスを作る過程というのも昔より格段に進化している。

昔は木の道具を使って穴をあけて、磨きも革を使ってひたすら磨いていた。

↑昔使っていた道具。

 

ぼくの意見としては、ただテクノロジーが変えているだけで、それは若者が「新しいアートワークを見つけ出した」だけだと思うよ。

アメ駐:なるほど。

カルヴィン:ういう形であれ、僕は新しいアーティストをいつも励ましている。飛行機と同じように、離陸の時が一番大変で一番エネルギーがいるんだ。一回飛び立ったら後はメンテナンスをしていけばいいんだからね。色々なスタイルがあって一人ひとり違うスタイルを持っているから、どんな始まりでもいいんだよ。僕も最初は本当に大変だった。一つ一つ解決していかなきゃいけないから。

アメ駐:どういうところが一番大変でしたか?

カルヴィン:僕のネックレスは、他の人のヒシネックレスより高い。だから売っているときに、「あなたのは300ドルだけどそこの人のは80ドルだから80ドルにして?」って言われたりするよ。そのときは「そこの人の所で3本買ったら僕のと同じ価値になるよ」って言ったけど(笑)

そういう風に、「自分の価値を分かってもらえない人には売らない」と決めるところが大変だったかな。それは前の「商品が語る」というところにつながってくるけど、質は絶対に落とさないで、技術を向上させているなら値段は下げられないからね。

アメ駐:なるほどー。カルヴィンの話は本当にいつも心に響きます。

カルヴィン:そうそう、心がクリーンじゃないといいジュエリーは作れないんだよ。

だからいつも勤めてHappyになっている。ジュエリーが心を移すんだ。いつもHappyで、自分がやっていることを心から好きじゃなければいけない。

心が曇っていたり、他人と比べていたりしていたら、それが出来上がったジュエリーに出るんだよ。

アメ駐:そうなんですか、仕事と生活がそういう部分で直結してくるんですね。

本当に深い、ためになる、心が洗われる話でした。本当にありがとうございました!

カルヴィン:じゃあご飯を食べよう!!

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いつもいつも、ご飯を作って待っていてくれる優しいロバト家。

「ジュエリーが心を移す」

本当にステキな言葉です。

技術や仕上げの細かさも、カルヴィンロバトの本当にすごいと思うところ。彼の作品には技術だけではなく、こういった信仰や思いがジュエリーに込められています。

カルヴィンの作品はこちらから。