アーティストインタビュー スティーブアルビソ ジュエリー編

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さて今回はスティーブアルビソのインタビューを製作風景と共にお届けします。

アメリカ駐在(アメ駐):スティーブさんはコミュニティの村長をやっていますよね?

色々とナバホ族の根本的な考え方というのも聞きたいのですが、まず初めにスティーブはいつからジュエリーを作り始めたんですか?

スティーブ:高校を中退して軍隊に入って、帰ってきて2年してからだから1986年かな。姉がジュエリーを作ってたから、それを手伝い始めたのが始まりなんだ。

アメ駐:そうなんですね、スティーブはサンシャインリーブスから紹介してもらったし二人はかなり仲がいいですけど、もともとサンシャインリーブスとは知り合いだったんですか?

スティーブ:サンシャインは1985年とか84年から知っているよ。二人ともジュエリーを作り始める前。お互いに木材の運搬をするトラック運転手の仕事をしていてそこで知り合ったんだ。

アメ駐:そんな古い知り合いだったんですね!

スティーブ:そうだね。そこからお互いにシルバースミスになって、僕はトレーディングポストにワイヤーワークとかスタンプワークを使ったジュエリーを大量に作って売っていた。若かったしね、一日100個とか200個とか作ってたよ。

サンシャインもそうだし、ゲーリーとかダレルキャドマンもみんなが働くスタジオが近くにあったから、よく遊びに行ってサンシャインと一緒によくパーティしたよ(笑)

アメ駐:そこでハリーモーガンとも出会うんですよね。

スティーブ:そうだね。1992年ごろかな。自分のジュエリーの経歴はすでにあったんだけど、今の自分のスタイルの根本はすべてハリーモーガンから来ている。

アメ駐:ハリーモーガンの教えはどういったものがありましたか?

スティーブ:「見て学ぶ」というのは結構知られているストーリーだよね。言葉で教わることはあまりなかった。ハリーは本当に細かいところに気を配る人だった。サンシャインと一緒にスタジオに行くと、いつも仕上げのやすりを時間をかけてやっていたから、一回いたずらでハリーがいつも使うやすりを隠して困らせたことがあるぐらいだよ。僕が細かいところに気を配るようになったのは、そのハリーの姿勢を受け継いでいるからだね。他の人が気にしない少しのゆがみとかが気になってしょうがないんだ。

アメ駐:なるほどそうだったんですね。具体的にハリーモーガンから学んだことでスタイルはかなり変わったんですか?

スティーブ:昔は銀が今の3分の1ぐらいの値段だったから、安いジュエリーもたくさん作れた。ハンドメイドでも大量にたくさん作れる、そういうジュエリーを自分は作っていたけど、ハリーは2000年までに自分のアーティストとしての名前をちゃんと確立しなさいと言ってくれた。もしかしたら銀の価格が上がることを見越していたのかもしれないし、市場がこうやって変わることが分かっていたのかもしれない。そのおかげで、大量生産のたくさん作るジュエリーから1点もののジュエリー、ターコイズにこだわっているオールドスタイルという今のジュエリーのスタイルになった。

アメ駐:そうなんですか、すごいですね。以前日本で電車に乗ってるときにこの人ハリーモーガンみたいって言ってましたよね(笑) 私も会ってみたかったなぁ。

他に、自分のジュエリーについて大切にしていることはありますか?

スティーブ:ハリーはとても腕が良くて本当にいい仕事をするんだけど、いいターコイズを使わなかった。それを僕はすごく疑問に思っていたんだ。だから僕はターコイズにはこだわっている。

おかげでインディアンマーケットでは、いつもお客さんにここに行けば本当にいいターコイズに会えるから毎年来ると言ってもらえるようになった。

アメ駐:ターコイズの値段が上がっていく中でハイグレードターコイズを使い続けるのは大変ですよね?

スティーブ:そうだね、値段はどうしても高くなってしまう。でも「質」は大事だよ。レストランでもなんでも、質がよければ自然にお客さんが来るし、ジュエリーも一緒で質が良ければ必ず見てくれる人がいる。

アメ駐:なるほど、ではスティーブの尊敬する作家は?

スティーブ:「自分が一番だからいない!」・・・というのは冗談で、技術を習ったという点ではハリーモーガンだね。でもアーティストそれぞれ得意な分野があるからたくさんのアーティストを尊敬しているし、人に対して尊敬の念を持つっていうことは大事だよ。

アメ駐:なるほど、ジュエリーづくりで大切にしている思想みたいなものはありますか?

スティーブ:うーん、「自分が満足する作品でなければ世に出さない」ということかな。自分が売りたくないって思うほどに満足した作品を作れた瞬間っていうのがアーティストであることの醍醐味だと思うんだ。自分が少しでも気になる所があったら、それは僕の名前で売ることに抵抗があるから誰が何と言おうとその商品は売らない。

アメ駐:これでもいいかなというレベルでは売り物にはできないということですね。

 

次回へ続く。

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