アーティストインタビュー続編
前回の記事はこちらから。
アメ駐:デモンストレーションなどで日本に行って、たくさんの日本人と知り合って、率直に、日本人のことをどう思いますか?
スティーブ:僕はアメリカの外には日本にしか行ったことがないから比較しようがないんだけど、とても勤勉でよく働いて、ものの本質を見る人が多いなと思うよ。
アメ駐:なるほど、じゃあナバホ族の人についてはどう思いますか?
スティーブ:・・・・それはすごく難しい質問だね。ちょっと時間がほしいなぁ。僕はコミュニティの村長をやっていて、ナバホの政府の仕事もしたことがあるからすごくそれの返答は難しいね。。。。
やっぱり、怠惰だっていうのはあるね。それは日本人とたくさん出会っているから比較できるんだけど。
あとは言い方が難しいけど、「現実から取り残されている感じ」はあるかな。歴史的に見ても、ナバホ族というのは本当に賢くて強い部族なんだ。でもそれを活かせていない。頭のいい人たちは都会に出て行ってしまって、リザベーションに戻ってこない。もちろんそれは歴史的な問題だけどね。
アメ駐:それはきっとどこの国にも言えることでしょうね。
スティーブ:ジュエリーもそうだけど、「伝統を守ること」をずっと続けてきたから、外部との接触とかそれを盗まれるや公開することにすごく敏感で新しいことがなかなか受け入れられないんだ。
アメ駐:そうなんですね。ソーシャルメディアも今は持っているアーティストが増えましたけど、それについてはどうですか?スティーブも最近インスタグラムを始めたんですよね。
スティーブ:まだ抵抗があるし、僕ら世代の人々にはやっぱりいいイメージというのはない人が多いと思うんだけどね。昔はみんな貧乏で、みんなお金がない、お金持ちは白人だけという社会だったから、同じ部族の中で格差ができるとすぐに妬みになる。自分は村長という立場でもあるし、公に出ることというのはとても勇気がいることなんだ。でもアーティストとしてそういう社会を変えていくべきだとも思っている。
アメ駐:伝わらないともったいないと私も思います。スティーブは仕事ということ対してどう思ってますか?スティーブにとっての仕事とは?
スティーブ:僕にとっての仕事ね。(しばらく考えて)これは今の意見でいいの?年代と環境によって全然変わってくるからね。若い時はお金ありきだったけど。。。。
アメ駐:今の考えで大丈夫です。
スティーブ:仕事とは、一言で言うなら「家族の生活をよくするもの」だね。
僕にとっての一番の仕事は、雪かきをしたり、雨で流された土を埋め立てたり、家の周りを過ごしやすいようにきれいにすること。
次は、馬に牧草をあげて、馬の様子をチェックすること。
そして、子供たちや家族に必要なものをそろえること。
そのためにお金が必要なのであれば、そのためのお金を準備するためにジュエリーを売る必要がある。
アメ駐:アーロンアンダーソンのインタビューでも同じような答えが出てきました。子供たちが卒業したらジュエリーは作らないかもって言ってましたよ。
スティーブ:そうなんだ、でもきっとアーロンは作り続けるだろうね(笑)
例えば人生に満足してしまったら仕事なんてする必要ないんだよ。だから、仕事をしているということは何か改善したいと思っていることがあるということ。経済面でも、生活の面でもいいけど、だから人間は一生満足しちゃいけないんだと思うよ。
アメ駐:なんだかかなり深い話になってきましたね。大切にしている人生の教訓はありますか?
スティーブ:教訓ね。自分の信念というのは言葉にするのは難しいけど、僕は甥っ子が多いから、彼らにはいつも「Don’t do anything in half ass」っていうのはよく言うね。
アメ駐:直訳すると、「何事も半ケツでやるな(笑)」
つまり中途半端にやるなってことでしょうか。
スティーブ:そう、何事も、やるなら全力できっちりとやる。中途半端にやるくらいなら、やらない。
例えば馬の世話。昨日甥っ子に、馬に水をあげてって言ったら、汚い水がまだ入ったドラム缶にきれいな水を入れるんだ。そんな中途半端なことをするんだったら、やらない方がいいって怒ったばっかりだよ。
アメ駐:そのスピリットはスティーブのジュエリーにも表れてますね。
本当に興味深いお話、ありがとうございました!!
スティーブアルビソのジュエリーは見れば見るほど繊細で丁寧な仕事だと感心します。スピリットやこだわりを聞くと、作品を見る目が全く変わってきます。