設計士の作品。

もうすぐ3月。
ニューメキシコも日が長くなり、あたたかくなってきました~。
とはいえ、4月になっても急に雪が降ったりするから油断はできません!!
こちらは大きなジュエリーショーが近づき、そして急な出張が入ったり、なんだかバタバタしている毎日です。
さて、本日はAaron Andersonの工房に行った時のご報告。
Jason Takalaが「芸術家」とすれば、Aaron Andersonは「ち密な設計士」という肩書がつけられるのではないかと
勝手につけさせていただきました。
Aaron Andersonの工房は、私たち駐在員の滞在する場所のすぐ近くにあります。
きちんと整列され、整頓された美しく広いスタジオ。
「Let’s Rockn Roll!!」
と大柄な体でがははと笑いながら作業スタート。
まずは、設計士さながらの設計台の上で、トゥファストーンにデザインを刻んでいきます。
アーロンの仕事のほとんどが、このトゥファにデザインを刻むその性格さにかかってきます。
デザインを刻む深さが作品にすべて表れるので、ち密に、かなり正確でなければ美しいラインが出ません。

私たちの工房訪問は午後2時、午前中をかけてこの一本を刻んでくれたそうです。
(すみません、写真は使用後で割れてます。)
左上には、これからペンダントでも作るであろうトゥファが置かれてますね。
そのあと入念にトゥファストーンを温め、

手で温度を測りながら温めていく達人技。ほどよい温度になったら準備完了。
反対側にまっすぐなトゥファをセットしてゴムで止め、

刻んだデザインの中に高温で溶かしたシルバーを流し込んでいきます。

あ!!

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芸術家の作品

昨日は大雪で、朝から道が凍っておそろしいドライビングでした・・・。
バレンタインセール、たくさんのお買い上げありがとうございました!!!
こういう機会に、新しいお客様にジュエリーを手に取っていただきジュエリーを知るきっかけになっていただけたらと思います。
またたくさんのいい商品を仕入れていきますのでお楽しみに★★★
さて、本日は巨匠Jason Takalaの工房訪問のご報告です。

仕入れを毎日していると、たくさんの作品を見ていく中ですごい人のすごさをついつい忘れがち・・・。
作品の話よりも日常生活の話の方が多くなりがちで・・・。
今回の工房訪問は、そんな一人ひとりのアーティストの技、他の人との違いを肌で感じ、あらためて作家のジュエリーに対する愛情を感じることができました。
Jasonの代表作、メイズその中のどこにすごさが隠れているのか。

すべて同じように見えますが、パターン(型)を使わないJasonは、一つ一つの作品をすべてコンパスで描き、その線に合わせてカットしていきます。

↑14金の上に描かれたメイズの下書き。
できあがりは特に、「マン」の人の部分はよーくみると全然形が違ったりします。
ホピのほとんどの人が、型を作ってそれをなぞって下絵を描いていくのですが、Jasonは一切型がないため、一つ一つ作品のイメージをスケッチブックにデッサンし、それをもとに
シルバーに絵を描くようにデザインを刻んでいきます。

カットの技もやっぱりすごい!!!
糸のこの選択から、カットの順番などジェイソンならではの細かい技が盛り込まれています。
(せっかくのジェイソンだけの技・・・・なので、あまり公表しないでおきますね。)

それにしても、気の遠くなる作業。
そして一瞬も気が抜けないカット。
重ねられた二枚のシルバーを、ハンマーで形をつけていく力技。

この細い体のどこにそんな力があるのか・・・ホントに脱帽です。
技術ももちろんのこと、イメージをデッサンして考えていくところなど、本当に芸術家の作る作品なんだなと感激します。
ない道具は自分で作り、
今までに誰もやったことのないようなデザインを常に追求し、
その根底には儀式を欠かすことのないジェイソンのホピの魂が宿っています。
ちょうど先週、雪を祈るためのダンスに参加したというジェイソン。
そのダンスのなかで、ホピの男性がキヴァの中で吸っていたという神聖な「ホピたばこ」もご披露いただきました。
なんだか、いろいろ感謝感謝の巨匠探訪でした。
次回はジェイソンお手製のステーキをごちそうになる予定(笑)
こちらの作品も近々入荷しますのでお楽しみに。
今ある作品を、これを知ってから見てみると、またいっそう素晴らしさが分かっていただけるかと思います。
Jason Takalaの作品はこちらから。

イスレタ村訪問記 Part2

前回に引き続き…
イスレタ村Michael Kirkの工房訪問記!
彼の工房で元気に出迎えてくれたのがブルドックの二匹。
かわいいんですが、なにぶん激しい!
そんな中もくもくと作業するマイケル。
丁寧にデモンストレーションをみせてくれました。
一本一本丁寧に描かれるイーグルの羽の模様が何で作られているかというと…
こちらの工具。

この細かい波型の彫られた工具をでシルバーの表面をひっかくとこのようにアノ模様ができるわけです。
本物の羽のように繊細に何度も何度も。

そして出来たものに今度は切り込みをいれてより羽らしく仕上げていきます。


じゃん!この通り。

元々は兄弟と一緒にこんなリーフモチーフのジュエリーを作っていたのだそう。

彼らのジュエリーは当時から話題で、その時代(1970年代)のVOGUEにも掲載されたんだそう。
棚の奥から古ーい雑誌をだしてきてくれました。

当時は便利な工具もなかったので線一本一本を狂いなくスタンプで打ち込んだんだそう。

これが現在のイーグルの羽の根源なワケですね。

何年も変わらずに同じスタイルを守り続けるというのは
決して容易な事ではありません。
たた一途にイーグルに願いを込めて。
そんな彼のジュエリーにはイーグルのパワーが秘められているのかもしれません。

マイケル・カークのジュエリーはコチラから→★★★

イスレタ村訪問記 Part1

早いもので今年も残す所一ヶ月ですね。
師走というくらいに何かと忙しいのが12月。
仕事もイベントも盛りだくさん!
〝クリスマスなんか関係ないさ。〟という私みたいな方いらっしゃいましたら、使える時こそ自分に投資いたしましょう♪
世界で一つのハンドメイドな一点もののインディアンジュエリーはずっとご愛用頂ける事間違えなしでございます。
ずっとご愛顧頂ける…といえば、マイケルカークのイーグルの羽モチーフのジュエリーなんかオススメですよ。
なんといっても、どんなシチュエーションにも身に付けられ、
軽快なボリュームが普段ジュエリーを身に付けない方でも抵抗なく着けて頂けるかと思います。
こちら!タラ~ン。

13000円也。

ご存知の方も多いかと思いますが、
インディアンにとってイーグルはとても神聖な鳥なんです
神様に一番近くまで近づける存在であり、それゆえ神のメッセンジャー的な役割があります。
なので色んな部族のインディアンは儀式の際にイーグルの羽を持ち入りますし、祭壇にはもちろん、車のミラーにつけてる人もたくさんいます。〝身を清め、守ってくれるお守り〟という意味合いなのでしょう。
そんな神聖なイーグルをモチーフにしたジュエリーが現地ではたくさんあるのですが、代表格といえばダントツにこの方Michael Kirkさんでしょう。

御歳60歳!現役です。
おっとりとした雰囲気の中職人魂がキラリと光る眼差しが印象的です。ショーには社交的な娘さんと参加されている事が多く、いつもブースの奥に静かに座っています。
彼の工房を訪ねたのが私達にとって初のイスレタ村訪問でした。
秋口に行ったのですが、イスレタには驚く程の無数の黄蝶が飛び交っていました。
今までアリゾナ、ニューメキシコ州のどんな田舎に出向こうと遭遇しなかった光景に、なにかここにはあるのでは?と期待が募りました。
さてさて~…
というところで長くなったので次回に続きます…。
(内容なくてすみません。)

サントドミンゴ族ジュエリー★続々入荷中!!


LEGOブロックじゃあございません!

こちらはヒシネックレスのビーズになる貝や石のパーツです。
ヒシネックレスといえばサントドミンゴ族!
彼らの工房にはこんな色とりどりのナチュラルな素材がいっぱいです。なんていったって、これがジュエリーに華を添える絵具のようなもの!作家によってこだわりもそれぞれです。
先日、マライカでも人気のカルビン・ロバトの家庭にお邪魔して作っているところを見学させてもらいました。
マライカでも何回か紹介済みですが…
(過去の記事はこちらから→★★★)
さらっと作り方のおさらい☆
まず、こんな風に石を四角いチップにカットしていきます。

そしてドリルで穴開け!

それを仕上がりのデザインを想像しながらワイヤーに通して行きます。家族でワイワイ♪アイディアをだして作ってるそうです。

そしてこれを水を流しながらマシーンで研磨していきます。
(目の粗さの異なるヤスリを2つを駆使!!)

さらに…ここがカルビン・スペシャル!!
マシーンを変えてさらに磨きをかけること1時間半。
こうすることで表面が滑らか!そして上品な艶がでてきます。

それを今度は丈夫なナイロン糸に通して行きます。
ここも熟年工、わずかな欠けを鋭くチェックしつつ通しております。ここは奥さんのピーラーが上手で手慣れた手つきでス~イスイ。

そうして出来上がったのがこちら。
たら~ん♪ ウツクシイ!

カルビンの使う配色はいつも絶妙!
時にパステル、時に光を通す透けた素材。

幻のアンバー(と私の中では勝手に命名してますが…)
をつかっていた時はホント万華鏡の様に美しかったです!
なんで幻かと申しますと…アンバーに限らずですがワンシーズンぽっきりでなくなってしまったからです。
カルビンの話になるとどうしても熱が入ってしまいますね。
完成度の高さ、配色センスの美しさもさる事ながら、なんといってもカルビンの人柄が我々駐在員は大好きなのです。
顔をみれば〝モシモシ…〟と返す愛嬌。(Hiと勘違いしてる?!)
震災の際には一番に安否を気遣う電話をくれ、募金を募ってると聞けば片道3時間かけて訪ねてくる温かさ。
そしてこれはみなさんの為に…
実はカルビンはネックレスが仕上がると祭壇に置いて先祖に語りかけます。それを身に付けた人が幸せになるようにとお祈りを捧げているのです。
カルビン含めサントドミンゴの人々にとって、安価な輸入ものが出回る中でのジュエリー作りは厳しい状況ではありますが、みんな細々とですが頑張っています。
ハンドメイドの素朴な温もり、ナチュラルな素材が織り成す絶妙な配色の違いって、日本人は特に共感できる部分なんじゃないかと個人的には感じます。
そんなサントドミンゴ族ジュエリーはこちらから→★★★

Delbert Gordonという人

サンタフェ・インディアンマーケットの喧騒から遠く離れ、ニューメキシコ州のリザベーションで黙々とジュエリーを作り続けるデルバート・ゴードンという人がいる
御歳55歳、シルバースミス歴30年近くにもなるベテランだ。
彼はショーだとかそういったものに一度も出したことがない。という。
先日お伝えした「セレモニオ」での受賞は、地元トレーディングポストがお店にあるものを出しただけ、そして受賞した。という。
だから彼には、何の利益もない。
でも、全然気にした風でもない。
至って「自然体」だ。

一度も受賞したことが無くても、サンタフェやアルバカーキ等のジュエリーショップでも、名だたるトップアーティストと同等のケースに入れられ、同等以上の存在感をみせる。
一度も受賞したことが無くても、彼の地元のトレーディングポストは「彼の作るジュエリーは素晴らしい」と軒並み口を揃える。

彼のハワードネルソン氏ですら、デルバートの作品を見て、素晴らしいと感嘆していた。
・・・・・・・・・・・・・
彼がジュエリーを作り始めたのは今から30年くらい前。20代そこそこの頃。
この頃の彼は、多くのナバホの若者と同じように、職もなく、酒に溺れ、ぼろぼろの生活をしていたという。
10代で憶えた酒浸りの生活は、想像通り悪循環を招き、
何をすればいいのか?
何がしたいのか?
どうすればこの生活から逃げられるか?
答えの出ない堂々巡りが、ますます彼をアルコール依存へと駆り立てた。
そんな生活の中、ある日ふと今まで身近にあり、見ていても見えていなかったものが見えた瞬間があった。とあるお店のショーケースにならんだジュエリーが見えた。
「あ、俺はコレをやるんだ。」
すぐにそう思った。と彼は言う。
やろう!とかではなく、やる。
彼曰く
「きっと神様の啓示だったんだよ」
以来、彼はアルコールを止め、一身にシルバージュエリー作りを学んでいった。
それも誰に教わる訳でもない。独学で。
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巨匠探訪 ハワード・ネルソン編

ニューメキシコにも嵐がやってきた5月、
皆様いかがお過ごしでしょうか?
・・・春はまだ先ですかねー・・・。
雪の結晶がきれいで、つい写真などを撮ってみたり。
・・・5月、もう5月よ!?なんで?なんで?
昼は半そで、夜はダウンジャケット、と言う日はまだ続きそうです・・・。
さてさて、アリゾナ州にある、ホルブロックという小さな街。
古代樹の化石が名産の小さな街ですが、
インディアンジュエリーファンには偉大な街です。
そこには、2人の巨匠が住んでいるからなのです!
HAWORD NELSON
Jason Takala
ナバホとホピ、両方の居留地に近いこの街、ホルブロックに、
2人を訊ねに行ってまいりました。
HAWORD NELSON
訊ねると、いつもどおりきちんと整頓された工房に通してもらいました。
ハワードは本当にきちんとした人柄で、ついなんとも「ハワード先生!!」と呼んでしまいたくなるような、落ち着いた大人のたたずまいです。

彼の人柄は、本当にジュエリーによく現れていて、
彼の名を一躍有名にした、サンバーストのシリーズから、

ワイヤーワークのオールドスタイル物まで、
どれも妥協のない、きちんとした作りこみが成されています。
一生を通して大事に出来る、
また、大切な人への、気持ちを込めたギフトとしても、
どれもとてもオススメな作品です。
長くシルバースミスとして働き、世界的にビッグネームになっても、
未だに初心を忘れず、
ひとつひとつに思いを込めて作り続ける、というのは、
簡単なようで、なかなか難しいことだと思います。
それを実践し続けている彼は、本当に稀有な人だと思います。
そんな思いを込めて、こう呼びかけましょう。
「ハワード先生ーーーーーー!!!!」
(言いたいだけ)
後半へつづく!

Darrell Cadman宅!

本日はダレル・キャドマンのお宅を訪問してメイキングを見せてもらいました。
ダレルと言えば日本でも有名なゲーリーリーブスサンシャインの兄弟ですが、彼の作品は兄弟の中でも一際丁寧な作りで、同じスタンプワークであっても一目見ただけで彼の作品だとわかります。
正確なカッティングに、ズレのないスタンプワークは見ていて秀逸な作品でだと感じます。
そんな彼の最新作はこちら!

こちらキャンデラリアの鮮やかなブルーがマッチしています!!
確かな技術とその多彩なセンスから、いつも世界中からのオーダーに追われ忙しそうです。
オーダーが多かろうと、1個ずつ丁寧に仕上げるのは彼のシルバースミスとしての誇りでもあるようです。
本日彼には“バンプアウト”という裏からスタンプを打ち上げて表に模様を浮き上がらせる技法をみせてもらいました。今主流になっているスタイルから、昔ながらのオールドスタイルまで見せてもらいました。
なにが違うかというと、現在のやり方は鉄の型で上下はさみ打ちにして力強く模様を叩き出すのが主流のようです。
そして昔ながらやり方というのは、パターンをひいてそれに添って幾つものスタンプで一つの模様を浮き上がらせるものだそうです。
オールドスタイルは手間がかかる分、一回ずつ同じ模様でも打ち出された表情が違いますし、味わいがあると感じました。
こちらがそのオールドスタイルでバンプアウトされたものです。


このレポートは後ほどホームページに詳しくアップしますのでお楽しみに☆
ジョークの好きなダレルは冗談交じりにとても親切に教えてくれました。
面白かったのが、シルバースミスでもある父アンダーソン・キャドマンが同じく横でジュエリー製作をしているのですが、ダレルがバンプアウトの合図をだすとおもむろに専用の耳栓をするのです。

その光景が不自然なのに、二人にとってはごく自然なのが笑えました。
二人の仲の良さもまた居心地が良かったです。