サントドミンゴ族とスペイン文化

先日、サントドミンゴ族のカルバン・ロヴァトの招待を受け、サントドミンゴのセレモニーを見にいきました。
8月4日はサントドミンゴ族にとって、セント・ドミニクの聖誕祭でした。
スペインの入植によって、クリスチャンの文化が融合したサントドミンゴの人々にとっては一年で最も重要なセレモニーの一つになります。サントドミンゴ、この名もスペインがつけたスペイン語の名前になります。
サントドミンゴ族はリオグランデ川流域で発展した部族であり、その川の恵みである貝やターコイズを削ってビーズにし、ヒシと呼ばれるネックレスを作ってきました。
現在ではフィリピン産など、似た雰囲気で機械メイドの低価格のものが参入し、ハンドメイドで時間をかけてつくられる高価なサントドミンゴ族のものはだいぶ下火になってきています。また低価格に押され、最近ではプラスティックのビーズで作ってしまうサントドミンゴの人も多く、カルバンのように、一つ一つすべて手作りでやる職人は10人足らずとなってしまいました。
せっかくの素晴らしい技術なのでとても残念に思います。
こちらはカルバンの作品です↓ビーズを削って作るところから始まります。

さて、セレモニーの話に戻りますが、行く前にインディアン達に”サントドミンゴはかなり暑い”と忠告を受けていました。日本と違って湿度の少ないニューメキシコでは日差しが”熱い”と感じる事があっても、なかなか”暑い”という感覚はありません。ですが、サントドミンゴはほんっとに暑かったです。
そんな中、このセントドミニク祭は朝から夕方まで行われました。
男性の歌い手が50人近く、老いも若きも男女のダンサーが250人、総勢300人もの村人たちが、中央に奉られたセント・ドミニク像に向け、祈りのダンスと歌を捧げます。
地響きにも似た男達の低音の歌に合わせ、炎天下の元、1つ当たり約一時間にも及ぶダンスを何度も繰り返します。
ダンサーには大きく分けて3種類の人がいます。
男性ダンサー、女性ダンサー、そしてカチナに扮したダンサー。
男性は腰にふんどしのような布を巻き、頭にコーンを飾ります。手には”ガラガラ”と呼ばれるマラカスのような楽器を持ち、リズムを刻みます。
それに対して女性はズニ族のような黒っぽいワンピースを着ており、手にはモミの枝を手にしています。
そして、カチナのダンサーは頭にコーンの葉を大胆に飾り、頭から足の先まで白く染め、所々に黒い斑を描いています。一見怖い外見ですが、サントドミンゴの人たちにとっては神聖な存在になります。
いずれも、サントドミンゴらしく、首には貝のネックレスを身につけています。
驚いたのが、中央のテントの中で大事に奉られている、セント・ドミニク像です。装いはフランシスコザビエルのような、クリスチャンなのですが、首にはヒシネックレスがかけられているのです。文化の融合がそこにはありました。
およそ100メートルほどの道をこのダンサー達が埋め尽くし、列をなして踊り続けます。
暑さに見守る観客も体力を使うほどです。
この伝統にか、信仰心に対してか、いずれにせよ一心不乱に行われる儀式に圧倒させられました。
部族の実態はリザベーションのシークレットによって守られ、あまり知られていないですが、それぞれの部族を知ると、また一つずつの商品が違って見えてくるように思います。
インディアンは過去の話ではなく、今もそのスピリッツがちゃんとここにはあると感じられたのが、自分にとっては一番の収穫だったと思います。