突然の訃報

アーティストはご高齢の方が多いとは常日頃から発信していますが、やはり訃報を伝えるのは心が重いです。

ダンジャクソンが5月18日に他界されました。

ジュエリーの細かさや独特のデザインももちろんながら、身につけた人が長く使えるように絶対に厚みのあるシルバーを使うなど、ジュエリーに対する哲学や信念がありました。

年齢を重ねたネイティブアメリカンの方はとても知恵深くて懐深いところがあるのですが、ダンジャクソンは本当にその知恵と懐の深さを惜しみなく表現してくれる人でした。いつも私たちを気にかけてくれ、羊を捌いた日には連絡をくれてお昼ご飯にと差し入れてくれたり、私たちの家族のことまで心配してくれる。この仕事を通してこのような方に出会えたことに、本当に感謝します。

アーティストインタビュー「ダンジャクソン」

「全てはハンドメイドで、作家が一点一点作っているものなのですよ」といつも言っているフレーズですが、アーティストが作ることができなくなればもう作られることはなくなる、それがインディアンジュエリーです。

デザインやスタイル以上に、皆さんが持っている作品たちを通してアーティストたちの生活や作っている様子などを想像していただけるともっともっとインディアンジュエリーの奥深さが感じられるかと思います。

オンラインストアでは毎日新作公開中

お久しぶりです。

新入荷紹介が全然追いついていませんが、早くも連休ということでオンラインストアでは毎日新作が公開されています!!!

 

少しずつ外出もしやすくなってきているでしょうか?来週は母の日もありますので、ぜひ店頭で商品を触ってみてくださいね。

アメリカでは旅行する方がとても増えてきていて、ネットで見ていた商品を実際に触ってつけてみて感動されるという機会も多くなってきました。

店頭でたくさんある商品を見ていると、今までは興味をそそられなかった商品にピンと来るというのはよくあることです。着けてみた感じ、重さ、色味、雰囲気などを味わって夏に向けたお気に入りの作品をぜひ見つけてください。

先日はダンジャクソンのリングを目当てに来たお客様が、結局ダレルキャドマンの大きなターコイズ付きのバングルを買われていきました。

いつもの自分のスタイルとは違うものがフィットするという発見ができるのも店頭でトライしてみるとよくあることです。(これを読んでいる店舗スタッフの方々は深く頷いてくれると思います。)

 

さて、こちらの新作はヨヨキ夫妻のゴールドコンビもの。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、このところネットショップにはゴールドを使った作品が少しずつ並んでいます。

コロナ禍でアーティストが厳しいとき、こちらから地金の金を渡してスペシャルな作品を少しずつ作ってもらっていました。

金板は金額が高いのでアーティストでも事前に用意することができる人は一握り。この作品たちも事前に地金をオーダーしてヨヨキ夫妻とミーティングをし、スペシャルな作品を作り出してもらったものです。

やはりヨヨキ夫妻のデザインは柔らかみがあって温もりを感じます。

 

画像

 

一生の宝物になり得るようなゴールドを使ったインディアンジュエリー。これらがこのパンデミック中に作られたというのは作品に更なる思い出を与えてくれるような気もします。

(実はこちらは円が安くなる前の価格で今後はこういった商品もなかなか仕入れづらくなってきそうです。)

 

 

ネイティブアメリカンの儀式の話

お久しぶりです。

ニューメキシコ州はまだ寒く、三月という感じがせず今日も雪予報が出ています。

アメリカは全州でマスクの義務化がなくなり、ニューメキシコ州もマスクをしない人が増えてきていますが、ネイティブアメリカンのマスク着用率はまだ高いです。

今日はホピのジュエリーを値つけしていました。銀板と糸鋸のみで描き出されるその世界には、たくさんの祈りが込められています。

アーティストの中には部族の中で重要な役割をになっている人もいて、ホピ族、ズニ族、サントドミンゴ族など儀式に呼ばれて参加させていただくこともたくさんありました。(コロナ禍で今はほとんどの儀式が部族の中心の人たちのみで行われています)

ちなみにナバホ族は人口も多いし土地も広いので、家族単位でやることが多く部族全体でやる儀式というのはお祭りみたいなフェアーと呼ばれる場所で開催されます。

儀式そのものは写真を撮ることはできないので毎回心に焼き付けるのみなのですが、バッファローダンス、レインダンス、バタフライダンス、スネークダンス、などなど英語の名前がついていない儀式にもたくさん参加させていただいていますが、全てその儀式の中で共通していることは「祈ること」です。

その祈りをクリエイター(世界を創った神)に届けるための儀式。

その中心にあるものが平和です。白人やスペイン人からの迫害を受けながらも、隠れて自分たちの儀式や祈りをやめなかったのは、平和を祈ってきたからだとサントドミンゴ族のカルビンロバトが昨日話してくれました。

コロナが始まった時も、みんなで集まって儀式をすることはできないけど、平和を祈るための儀式はどの部族でも止まることはありませんでした。

どれが売れるか、着けたらどれがオシャレかということに囚われがちな現代のジュエリー論で頭がいっぱいになりがちですが、ジュエリーに祈りを込めるというネイティブアメリカンジュエリーの始まりを思い出させてくれます。

Zuni族のエイミーウェスリーの作品。よく見るモチーフでハミングバードとも呼ばれますが、ズニやホピの人たちは手と手を繋ぐフレンドシップのデザインといいます。

こんなご時世だからこそネイティブアメリカンの儀式についての話をシェアしてみました。

ハリソンジムの技術

久々の更新ですがこちらニューメキシコ州は相変わらず、日本と変わらずコロナとの共生の毎日です。

ニューメキシコ州ではマスクをしている人がほとんどですが、お隣アリゾナ州に入るとマスクが義務化されていないので、逆にマスクをしている人が少ないぐらいという、州や場所によってもコロナとの向き合い方が違うのがアメリカらしいです。

さてただいま極寒のニューメキシコ州。今日は1日中氷点下らしいですが、今回はあまり雪が降らなかったのでただ寒い今です。

そんな中もうご覧になった方もいるかと思いますが、久々のYoutubeアーティストの動画が出ています。

全てを惜しみなく見せてくれたハリソンジム。

伝統的スタイルを貫きながら、でもその労力をあまり語ろうとしない姿はまさに「漢気」と思い感動しました。

勿体無いのでほとんどカットなしで仕上げてみましたので、動画の長さは1時間近くあります。

一本のバングルに込められる時間と労力を、深夜お酒を飲みながら、うっとりとしながら味わって欲しい動画です。

 

 

この動画を見た後、このバングルたちはただのバングルではなく見えるはず。

 

明けましておめでとうございます

ご挨拶が遅れましたが、明けましておめでとうございます。2022年もアメリカ駐在ブログをよろしくお願いいたします。

こちらニューメキシコ州、大晦日の夜に大雪が降りました。東京でも積雪があったとのことですが、白い雪が降り積もる様子はいつでも美しいですよね。

さて年末年始も新しい商品が続々とウェブサイトにアップされています。

 

ネットには続々とアップしているのですが、ここ現地ニューメキシコ州ではアーティストたちのジュエリー作製のペースがとても落ちていて、制作をやめてしまう人も非常に多いです。何回かこのブログにも書いていますが、「ネイティブアメリカンアートが手に入りにくくなった」というのが地方テレビのトップニュースでやっているぐらいです。現地トレーダー同士の話も、どれだけジュエリーを確保するのに苦労しているかという話になりがちです。

なぜジュエリーやクラフト作りをやめちゃうの?とよく聞かれるのですが、人により色々な理由があると思いますがまぁコロナの影響がとても大きいです。

高齢になっていたし、コロナをきっかけに年金をもらうことにして作るのをやめた。とか

政府からの支援金を受けているから作る必要があまりなくなった。とか

銀の価格が高くて作っても利益にならないから作るのをやめた。とか

そんな中アーティストは簡単にすぐ作れるものを作りがちで、ターコイズを使ったものをなかなか作ってくれません!ハイグレードターコイズの一生ものの作品というのがとても手に入りにくくなっている中、見ても着けても幸せになるようなターコイズものを数点オーダーしたものがネットショップにアップされています。

 

スティーブアルビソにオーダーした作品達は原点に戻ったようなシンプルかつオールドスタイルの作品が出来上がりました。

アンディキャドマンも精力的に石ものを作ってくれました。

プリッとした艶のあるアパッチブルー。いつでも見ていられるターコイズです。

 

こちらはダレルキャドマンの作品達。

バングルにはサイドに弓矢をアップリケしたもの。弓矢、矢尻のモチーフはお守りの意味があるので、今とても需要があるモチーフだったりします。

 

そしてアメリカでは定番の人気の大きなターコイズのついたリング。日本だと着けやすい細身が人気ですが、アメリカでは年々「大きくて目立つもの」の需要が増えている気がします。

大きなターコイズのついたリングはそれなりに値段も張りますが、「自分のトレードマークのジュエリー」として毎日いつも身につけるというネイティブアメリカンの人も多いです。特にメンズの大きい石のついたリングはこのリングといえば!というアイデンティティとして身につけている男性が多いと思います。

有名なトレーダーはいつも大きなランダーブルーのターコイズを身につけていたり、アーティストも自分の作った大きなターコイズのリングを身につけていたり、「ターコイズに守られている」感覚もあるのかもしれません。

 

2021年ありがとうございました

早くも年末、今日は積雪、激寒のニューメキシコ州です。

2021年もアメリカ駐在ブログ、インディアンジュエリーをご愛顧いただきありがとうございました。

コロナ禍でもジュエリーを通して海を越えてつながっていけることが何よりも嬉しいです。

2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

クリスマスが終わるとアメリカの年末は大晦日が半日営業ぐらいで、他は通常に戻ります。

年末も入荷ラッシュは続いています。

ウェブサイトのチェックはお忘れなく!

クリスマスにまだ間に合う新入荷

今朝は雪のニューメキシコ州。例年11月、12月には数回雪が降るものなのですが、今年はようやく雪が降ったという感じでクリスマス一週間前にしてようやく冬らしさを感じています。

こちらアメリカもクリスマスギフトを探すお客様で連日忙しいです。

やはりギフトの人気は、女性向けにはピアス、男性向けにはペンダントですね。

サイズがあるリングやバングルは少し内緒で買うにはハードルが高いかもしれませんが、寝てる間にこっそりと指のサイズや腕のサイズを測ったといって来店するお客様も多いです。さすがアメリカ人、サプライズが好きな人が多いです。

さて、少し新入荷を紹介しそびれている間にたくさんのアイテムがネットにアップされていますので、紹介します。

まだクリスマスにも間に合いますし、2021年頑張った自分へのご褒美にもぜひ。

例年年末にはたくさんのジュエリーが旅立っていきますが、歳納めの自分への贅沢、そして新年を新しいジュエリーとともに迎えるというお客様も多くて本当に嬉しいです。

ではまずはサンシャインの入荷から。

サンシャインのジュエリーはまだ店頭にはあるものもありますが、ウェブでは即品切れになってしまうものが多いです。

(ということは、ショーケースの中に眠っていてウェブサイトには載せていない掘り出し物もたくさんあるということ。年末にはマライカの店舗巡りをするのもお勧めです。。)

というわけで新しい商品もありますが、結構前に作った商品も価格はそのままで掲載されています。

このshadowボックスペンダントは結構前に入れたものが奇跡的に残っていたもの。

 

さらに、ギフトにもオススメのシルバー物も多数入荷しています。

ジェニファーカーティスはギフトの定番。重ね付けにも使えるので、ピンキーリングに、サムリングにと色々な形を持っていても飽きずに使えます。

 

こちらはレアアイテム。レイアダカイの変わり種。

コンチョと小さめのバックルです。

レイアダカイはヘヴィーゲージの2枚がさねバングルが一番人気ですが、こういったレアなアイテムもしっかりとした存在感で「実はレイアダカイです」と言えるのがたまらない作品です。

クリスマスまで10日、2022年まで16日。

クリスマス、年末は気になっていた商品を自分のものにする「いい口実」です。

インディアンジュエリーの限定福袋も数個まだあるそうですよ!

ダレルキャドマンのこだわり

早くもクリスマスが迫ってきましたが皆様ギフトなどのぬかりはないでしょうか?

今年はインディアンジュエリーの福袋が出るとのこと!中身はTwitterの方でチラ見せしていますが、めちゃ豪華。ファン必見です。。。

さて今日はダレルキャドマンと長々と話をしていました。

 

今日はこんな感じの半円ワイヤーのバングルや三角ワイヤーのバングルを持ってきてくれたのですが、その流れで「このリングの周りに全てコンチョを全部つけるのを次回は作るよ」と言ってくれました。

実はダレルキャドマンのスゴいところは、デザインのためなら面倒くさいことをたくさんやってくれるというところ。

いつも、「人と違うものを作る」ということを考えながら作ってくれているので、同じバンプアウトでもトップ部分を変えてくれたり、

 

そしてこれシリーズが人気だと肌で感じてくれると、それを何も言わずにピアスにしてくれたり。

ダレルへのオーダーが増えるということはお客様に気に入ってもらえているということなので、そのお客様の感度に敏感に反応してくれるのがダレル。

 

ちなみに今日、私もこのピアスをつけています。。。

 

最初はエッジの部分をスタンプに合わせて切り込みを入れていた作品が多かったのですが、エッジが丸いとどうしてもレディース向けになってしまってメンズのお客様が残念がっているというのを知り、今では「メンズの感じ」というとしっかりとダレルらしさのある手間をかけたデザインを残しながらも、シンプルでヘヴィーな仕上げにしてくれるようになりました。

 

スタンプワーク一つをとっても、全てきっちりと、そして一つ一つが微妙に違う。それは他の人とは違うものを作るというスタンスがいつも一致しているからで、それだからたくさんの作風を作って、私たちにいつも驚きを与えてくれます。

シルバースミスは自分の仕事でもあるけど、プライベートなことでもあると語ってくれたダレルは、残念ながら仕事場に人を呼んだり自分の作品を作っているところを人に見せることはほとんどありません。だからこそ、こうやって話しながらダレルの考えを聞くのはとても貴重な機会。いつも次はどういう作風にしようか、このワイヤーは丸ワイヤーじゃなくて四角ワイヤーにしてみたんだ、とか細かいこだわりや企画を話しながら作品を作ってもらっています。

これぞインディアンジュエリーの楽しみ。

同じ作家が作っていると思えないほどたくさんのレパートリーができるのは技術があってこそです。

 

ハーヴィーメイスのメイキング動画

こんにちは。

久々のSouthwest Channelのアップ、第一弾は待望のハーヴィーメイスとなっております。

フェイスカバーをしながらの彫金風景っていうのも、なんだか不思議でありながらでもこれを画像に残すことの意味もあるような。。。

たくさんの数をリーズナブルな価格で提供してくれるハーヴィー。だからこそ本物かどうかとか疑われることもありますが、こうやって一つ一つ羽を刻んでいるんですよ。そしてリングとバングル、ペンダント、さらに形によって微妙に違うカーヴのラインスタンプを一つ一つトントンと刻んでいきます。

ハーヴィーの作品を持っている方はとても多いと思います。

こうして作られているんだというのを知ると、やはり改めて感銘を受けてジュエリーを磨きたくなります。メイキング動画、ぜひゆっくりご堪能ください。

さてアメリカでは今週は明日、午前中だけで閉まるお店が多いです。

次の日はサンクスギビングデー。

別名、家族で集まって七面鳥を食べる日。今年は約2年ぶりに帰郷して家族に会うという人たちも多く、飛行機もかなり混雑している様子です。

そして金曜は日本でも知られてきた「ブラックフライデー」、月曜は「サイバーマンデー」

オンライン商戦が激化して、これからは完全なるクリスマス一色になっていきます。

こちらは2年前のサンクスギビングデー。

七面鳥に欠かせないのはマッシュポテトとグレイビーソース。

ネイティブ式なのは横に「グリーンチリ」奥に見えるのは「マトンシチュー」

そして欠かせないのはフライブレッドまたはトルティーヤ。

日本では感謝祭の文化はありませんが、この日はどこでも

「Happy Thanksgiving Day!」というフレーズで溢れる1日となります。

インレイバングル入荷

インディアンジュエリーの手法といえば、スタンプワーク、インレイ、ヒシ、オーバーレイ、ニードルポイントというのが王道の手法ですが、そのうちのインレイワークに従事する作家は本当に減ったなという印象があります。

マライカでも人気のストーンウィーバー社のジュエリー。

 

コロナでのロックダウンにより、この会社もロックダウンして1年弱作品を作ることができませんでした。インレイの作業は一つの場所にたくさんのインレイヤーと呼ばれる職人が作業台を並べてやるものだったので、そういった人が密になる作業はできなくなってしまいました。

その後再開したものの、40人近くいたインレイヤーのうち戻ってきたのは一人。現在はインレイのジュエリーはほとんど作ることができていません。

これはストーンウィーバー社に限らずの話です。コロナの他にもたくさんの理由があるとは思うのですが、手間ひまのかかる手作業の仕事をそれなりの価格で提供することができるという時代は終わりつつあるのかもしません。

今まではどのインディアンジュエリー店にいっても見ることができたインレイジュエリーは、どんどん貴重なものになっています。

こちらは新入荷で、ウェインマスキットというナバホ族のアーティストから直接仕入れているものです。「ターコイズだけ」「マルチカラー」とか色を相談しながら一本一本作ってもらっています。石の選び方がしっかりしているのはもちろんのこと、シルバーの厚みがしっかりしているのも彼の作品の特徴です。

 

 

その他今後はなかなか見られなくなるであろうインレイの作品、オンラインショップにたくさんアップしています。

マライカの店頭にもまだインレイの作品はたくさんあるかと思いますが、ターコイズものやシックなカラーのものはスタイルを選ばずに付けやすいのでオススメです。

一つ一つ石をカットして合わせていくインレイワーク。見た目だけ見ると簡単なように見えますが、よく見てその手間を想像してみると鳥肌が立つぐらいです。